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プラスチックリサイクルの業界動向と今後の展望を紹介!

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国連がSDGsを提唱したことを皮切りに、資源や廃棄物の削減やカーボンニュートラル、地球温暖化対策などのさまざまな課題解決に向けた対応が求められています。プラスチックのリサイクルもその取り組みの一つで、使用後のペットボトルや食品用トレイなどの廃プラ(廃プラスチック)をどのように再利用するか、各事業者に求められています。

この記事では、プラスチックのリサイクル業界の動向と今後の展望について解説します。

プラスチックリサイクル業界の市場規模

プラスチックリサイクルは、大きく「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」の2つに分かれます。

マテリアルリサイクルは、廃棄物を加工して原材料や製品として新たに再利用するリサイクル方法です。

一方、ケミカルリサイクルは、廃棄物を化学的に処理し、原料として再利用します。

矢野経済研究所調査の「プラスチックリサイクル市場に関する調査を実施(2022年)」からもわかるように、2022年時点ではマテリアルリサイクルに比べ、ケミカルリサイクルの量は少ないですが、2025年、2030年と年を追うごとにケミカルサイクル量の増大が予測されています。

この流れは、2015年に開かれた国連サミットでSDGsが発表されたことをきっかけとして、世界的に循環社会やカーボンニュートラルに対する意識が高まったことによります。

さらに、2017年には中国の廃プラスチックを含む廃棄物の輸入規制や、2019年の改正版バーゼル条約による輸出入対象となる廃棄物品目の見直しなど、プラスチックリサイクル市場は大きな変化を迎えたのです。

プラスチックリサイクルのユーザーの動向

ここでは、プラスチックリサイクルのユーザーにはどのような業界が多いのか、またそれぞれの動向について解説します。

【プラスチックリサイクル樹脂ユーザー】

     
  • 飲料業界
  • 化粧品業界
  • 自動車業界

飲料業界の動向

飲料業界では、ペットボトルの軽量化をはじめとした省資源・省エネルギーの取り組みによって、ペットボトルの使用量を減らすことに成功しています。

2021年度の清涼飲料用ペットボトル出荷数は234億本となり、3R推進による自主行動計画を開始した2004年度に比べて1.58倍になっています。

※3Rとは、Reduce(リデュース:)Reuse(リユース)Recycle(リサイクル)の頭文字3つをとった言葉です。

ペットボトル需要の拡大に伴い、出荷本数は増加の傾向にありますが、軽量化をはじめとした省資源・省エネルギーの取り組みによる大きな効果が表れています。

原油採掘からペットのボトル製造・提供までのCO₂排出量については、2004年の2,096千トンと同様の排出量に抑えられていることが、PETボトルリサイクル推進協議会が発表している「PETボトルリサイクル年次報告書2022」のグラフからも読み取れます。

化粧品業界の動向

化粧品業界では、2022年4月の「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」の施行により、各社がリサイクルに関する取り組みを開始しています。

日本化粧品工業連合会は、会員の企業17社とともに以下の取り組みを実施しています。

     
  • シャンプーや化粧品などの製品のつめかえ・つけかえ用製品の開発・販売
  • 製品の中身を濃縮することで1回の使用量を減らし、製品のコンパクト化を図る

花王とコーセーは、店頭で化粧品プラスチックボトルの回収と、再生化に向けた実証実験を開始しました。

また、新日本製薬では、パーフェクトワンリサイクルプログラムと呼ばれる、化粧品容器の水平リサイクルに取り組んでいます。

自動車業界の動向

Report Oceanによると、世界の自動車用プラスチック市場は、2020年に約291億5,000万米ドルとなり、2027年までには417億4,000万米ドルに達する見込みです。

世界的に、自動車部品設計の簡素化や軽量化への要求が高まっており、製造が容易で耐久性にも優れている自動車用プラスチックは、需要が急速に高まっています。

車体重量を1kg減らせば燃費が向上することから、20kgのCO₂削減を期待されます。そのため、今後数年間は自動車用プラスチック市場の投資や研究開発が活況となることが予想され、より技術革新が進むでしょう。

プラスチックリサイクル関連企業の今後の展望

プラスチックリサイクル業界は、今後ますます拡大していくことが予測されます。ここでは、プラスチックリサイクル関連企業の今後の展望関する事例を紹介します。

三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社は、素材循環型社会の実現に向け、全社的にケミカルリサイクルの事業化を推進しています。

2023年度より、茨城において実証プラントが2万t/年で稼働を予定している他、PMMAの解重合技術(モノマー化)の確立に向け、米Agilyxや日本マイクロ波化学と共に実証実験を開始しました。

また、回収された廃プラスチックの汚染物質、汚れ具合などを把握するライフサイクル全体の管理や追跡にも取り組んでおり、リサイクルとバイオマスの両面から素材によるカーボンニュートラル化を推進しています。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社

コカ・コーラは、ペットボトル製品のサステナブル素材使用率を、2022年までに50%、2030年までに100%を目指し、プラスチックリサイクルに積極的に取り組んでいます。

国内で販売する清涼飲料用PETボトルについて、サステナブル素材採用率は2021年の時点で40%と、計画的に使用率を拡大している状況です。

ボトルの軽量化やラベルレス化も推進しており、業界トップの設置台数である自販機の横に回収ボックスを設置し、ボトル回収量の拡大を目指しています。

ライオン株式会社

ライオンは、資源循環型社会に向けた中長期経営戦略フレーム「Vision2030」において、サステナブル材料の使用率30%の達成をKPIに設定しました。

ハブラシ・リサイクルプログラムでは、墨田区でハブラシから定規の循環スキームを構築し、回収量の増加による事業化を目指しています。

また、2021年10月には、花王と共にプラ容器の資源循環に向けリサイクルの実証実験を開始。フィルム容器toフィルム容器の水平リサイクルに向けた、積層フィルム分離技術の開発を進めています。

株式会社コーセー

コーセーは、自分と周りとを認め合える未来、健やかな地球の未来の実現を目指しています。

「コーセー サステナビリティプラン」によって、2030年までに全ての新製品へ4Rの適用の他、バイオマス・リサイクル樹脂の採用比率50%までの拡大を目指しています。

プラスチックの使用量を増やさないことを軸に、リサイクル材を積極的に活用する方針としています。メイクアップアーティストブランド「アディクション」では、リサイクル材をあえて見せるデザインで注目を集めました。

まとめ

国連サミットでSDGsが提唱されて以降、プラスチックのリサイクル業界の市場は徐々に拡大傾向にあります。

世界各国のみならず、国内においても法が整備されることをきっかけに、各業界の事業者も2030年に向けて各社が独自のリサイクルに対する独自の取り組みを始めています。

このような動きは、今後ますます拡大が予測されるため、関連する事業者は取り組む計画を検討する必要があるでしょう。

PEAKSMEDIA編集チーム

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