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生分解性プラスチックの特徴とは?種類と原料・メリットとデメリットを解説

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2015年に採択されたSDGsでは、海洋・海洋資源の保全や持続可能な消費・生産パターンの確保が掲げられています。海に流れ出るプラスチックごみの削減のために、生分解性プラスチックに注目が集まっています。

生分解性プラスチックは、最終的に水と二酸化炭素まで分解され、自然界へ循環していきます。当記事では、生分解性プラスチックを詳しく知りたい人に向けて、特徴やメリット、デメリットを紹介していきます。

生分解性プラスチックとはなにか

生分解性プラスチックとは、微生物の働きにより自然界へ循環するプラスチック自然界に悪影響を与えないプラスチックのことです。

ここでは、生分解性プラスチックの特徴とバイオマスプラスチックとの違い、生分解性プラスチックが注目される背景について解説します。

生分解性プラスチックの特徴

生分解性プラスチックとは、微生物により分子レベルまで分解が行われる性質のプラスチックのことです。元素は水素・炭素・酸素であり、水と二酸化炭素まで分解され、自然界へ循環していきます。

生分解性プラスチックは、以下の審査基準を満たしたものを指します。

     
  • 国際的に定められた基準・試験を行い、審査を通過したもの
  • 分解過程や重金属などの含有物がないかなど、安全基準をクリアしたもの
  • 微生物の働きで分子レベルまで分解され、最終的には二酸化炭素と水となるもの

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの違い

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの違いは、生分解性プラスチックは機能面の特徴での分類であるのに対し、バイオマスプラスチックは原料面で分類される点にあります。

生分解性プラスチックの使用後は、コンポストを利用した処理方法があります。コンポストを利用すれば、堆肥化処理やバイオガス化処理と呼ばれるメタン発酵を利用した「バイオリサイクル」を利用できます。

バイオマスプラスチックは、生物由来の再生可能な資源を「原料」として作成されるプラスチックです。
サトウキビやトウモロコシなどの食べられない箇所を活用しています。当該植物の種子がある限り何回でも育成できるため、基本的になくなる心配がないという特長があります。
さらに、原料の植物が光合成によって二酸化炭素を吸収して育成されるため、脱炭素の観点でもメリットがあります。

生分解性プラスチックが注目される背景

世界のプラスチック生産量は、1999年からの30年で4倍にも膨れ上がっています。

1950年以降に世界で生産されたプラスチックのうち、再利用されているのはわずかに9%程度であり、残りのプラスチックは埋め立てや焼却処理、または自然界に廃棄されているのが現状です。

地球上のプラスチックごみは増え続けており、2050年にはプラスチックなどの海洋ゴミが魚の量より多くなるとされています。

2015年に国連総会にて採択されたSDGsにおいては、海洋・海洋資源の保全や持続可能な消費・生産パターンの確保が掲げられています。

プラスチックごみに関する対策は必然であり、2022年4月1日施行の「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」では、プラスチック製品を環境に配慮した型への変更・使い捨てのプラスチック製品の再利用・排出されるプラスチックの回収とリサイクルが促進するための措置が講じられています。

プラスチックごみは解決すべき課題として取り組みが必要であり、生分解性プラスチック製品の活用は環境問題の解決に役立つことから注目が集まっています。

生分解性プラスチックの使用例

生分解性プラスチックの使用例は、以下のとおりです。

     
  • 農業用資材
  • 包装、容器
  • ゴミ袋やレジ袋、エコバッグ
  • 梱包材

それぞれについて解説します。

農業用資材

生分解性プラスチックで構成された農業用資材は、有機物ゴミと一緒に処分できるため堆肥化やリサイクルが可能です。使用した後にごみの回収や分別の手間を省けるため、農作業の作業効率を向上させることも期待できます。

包装、容器

一般廃棄物の約20%が包装・容器類であるため、生分解性プラスチックを活用できれば環境への負荷を大幅に軽減できる可能性があります。

以前は耐熱性や耐薬品性、食材への影響などが問題視されていましたが、最新の研究によって改良が進み、従来のプラスチックと同等の性能を備えた代替品が開発されています。

ゴミ袋やレジ袋、エコバッグ

生活の中で身近に利用しているゴミ袋やレジ袋、エコバックにまで植物由来の素材が活用されるようになりました。植物由来の素材で作られた袋は焼却や埋め立てても安全であり、広く普及されています。

環境に配慮した素材で作られており、持ち運びに便利でありながらもスタイリッシュなデザインにもこだわっています。

梱包材

ネット通販の需要の拡大により、商品の梱包に使用されるプラスチック資材が増え、廃棄される量も増えました。

PBAT(石油由来の生分解性プラスチック)と、PLA(ポリ乳酸、植物由来)を混合した素材を使用した梱包箱は、使い捨ての梱包資材や発泡スチロールの代替品として注目を集めています。

生分解性プラスチックの種類と原料

生分解性プラスチックの種類と原料について解説します。生分解性プラスチックの種類は、以下のとおりです。

     
  • バイオ由来のもの:PLA、PHA系(PHBHなど)
  • バイオ由来と化石由来のもの:PBAT・PLAコンパウンド、バイオPBS、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース(ジアセテート)
  • 化石由来のもの:PGA、PVA、PBSA、PBS、PETS、PBATなど

生分解性プラスチックの原料になる植物は、でんぷんが多く含まれているサツマイモ・トウモロコシ・ジャガイモ・サトウキビなどです。

国内で展開される生分解性プラスチックの種類と原料

国内で展開される生分解性プラスチックの種類と原料は、以下のとおりです。

     
  • PLA:ポリ乳酸
  • PGA:ポリグリコール酸
  • PHBH:ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)
  • PBAT:ポリブチレンアジペート/テレフタレート
  • PETS:ポリエチレンテレフタレートサクシネート
  • PBSA:ポリブチレンサクシネートアジペート
  • PBS:ポリブチレンサクシネート
  • PVA:ポリビニルアルコール

生分解性プラスチックのメリット6つ

生分解性プラスチックのメリットを6つご紹介します。

     
  • 酸化型分解プラスチックと違い完全分解できる
  • 廃棄物の削減ができる
  • 廃棄物の再資源化ができる
  • 生分解性プラスチックは土壌に蓄積されない
  • 二酸化炭素の排出を抑えることができる
  • 化石資源の削減ができる

それぞれについて解説します。

酸化型分解プラスチックと違い完全分解できる

生分解性プラスチックは、微生物の働きにより分子レベルまで分解され、100%自然へ還元されます。そのため、プラスチックごみを自然界に残しません。

酸化型分解性プラスチックとは、太陽の熱や光により酸化崩壊・低分子化を行い、微生物を使って分解するプラスチックのことです。生分解性プラスチックと違い、酸化型分解性ではプラスチックが部分的に残り、完全分解が難しい特徴があります。

廃棄物の削減ができる

生分解性プラスチックは、屋外に放棄され回収ができないプラスチック製品を、二酸化炭素と水に分解できるため、廃棄物の量を減らすことができます。廃棄物が削減されることで、自然環境を汚さずに保つことにもつながるでしょう。

廃棄物の再資源化ができる

カトラリーやストローに生分解性プラスチック製品を使うことで、食品廃棄物と生分解性プラスチック製品を同時に分解します。堆肥などの資源に変えることができ再資源化が可能です。

生分解性プラスチックは土壌に蓄積されない

生分解性プラスチックは、二酸化炭素と水に完全分解されるため、土壌に生分解性プラスチックの成分が蓄積されることがありません。継続的に環境にやさしい性質といえます。

二酸化炭素の排出を抑えることができる

通常、プラスチックゴミを焼却処分すると、二酸化炭素が排出されます。生分解性プラスチックを取り入れることで、二酸化炭素の排出量が減少し、脱炭素社会の実現につながります。

化石資源の削減ができる

プラスチック製品の多くは石油由来のものですが、生分解性プラスチックの原料には、バイオ由来のものもあるため、石油資源の削減に繋がります。

生分解性プラスチックのデメリット4つ

生分解性プラスチックのデメリットは、以下の4つです。

     
  • 製品の品質を保つことが難しい
  • 樹脂材料と比べて材料のコストが高い
  • 環境により分解されるペースが異なる
  • 熱に弱い

それぞれのデメリットについて解説します。

製品の品質を保つことが難しい

生分解性プラスチックは分解しやすい製品のため、衝撃を与えると割れるなど、品質の保証が難しい点がデメリットです。生分解性プラスチック製品は使い捨てが前提となるため、製品のリユース・リサイクルには不向きといえるでしょう。

樹脂材料と比べて材料のコストが高い

生分解性プラスチックの原料は、樹脂材料と比べてコストが高い点がネックです。化石資源由来のプラスチックに比べて数倍の差があると言われています。そのため、大量かつ安価に生産することが難しく、広く普及することが難しくなっています。

汎用樹脂で成形される製品と分野も被るため、なかなか普及が進まないというのが現状です。

環境により分解されるペースが異なる

生分解性プラスチックの分解は、温度・湿度・微生物の状態によって大きく左右され、土壌・海洋など場所によっても分解するものとしないものにわかれます。

完全分解が見通せない点もあり、分解のための専用施設の利用が必要なケースもあります。

熱に弱い

生分解性プラスチックには熱硬化性のものがなく、熱に弱い点はデメリットでしょう。生分解性プラスチックの化学構造は樹脂族ポリアミド・多糖質・ポリアミド酸・樹脂族ポリエステルなどに限られるため、熱に弱くなっています。

実生活で活用しようとした場合、コンビニで温めるお弁当の素材への活用は難しくなります。最近は製品改良も進んでおり、電子レンジ対応の商品も開発されていますが一般的な普及にはまだ時間がかかります。

生分解性プラスチックの現状と展開

生分解性プラスチックの現状と展開を「国内」と「世界」に切り分けて解説します。

国内

生分解性プラスチックには、今後解決していかなければならない課題が多くあることも事実です。

したがって、国内での普及が順調に進んでいるとは言い切れません。国内におけるプラスチック生産量(年間約1000万トン)のうち、2020年に国内で流通している生分解性プラスチックは約2,300トン※で、わずか0.02%程度となっているのが現状です。

※引用:生分解性プラスチックの現状と展望

しかし、生分解性プラスチックの活用を後押しするような取り組みも進んでいます。経済産業省は2019年に「海洋生分解性プラスチック」の開発や導入普及を促進するためのロードマップを策定しました。「プラスチック資源循環法」が2022年4月より施行され、今後さらに注目が集まると考えられます。

産総研は2021年10月に「海洋生分解性プラスチック標準化コンソーシアム」を設立しました。生分解性プラスチックの普及に向けてさまざまな施策を展開しています。

世界

生分解性プラスチックの世界市場規模は、2022年から2030年までの予測期間中に11.1%の複合年間成長率を記録し、2030年までに121億米ドルに成長すると予測されており、世界中でプラスチックごみの削減に向けた動きが活発になっています。

欧州委員会は2018年5月28日、大量に蓄積した有害なプラスチック海ごみ削減に向けて、EU全域に渡る新しい規制を提案しました。EU圏内に限らず各国でプラスチックごみの削減に向けた取り組みが加速しています。

たとえば、イタリアでは2019年1月1日より非生分解性で堆肥化できない綿棒を禁止しました。製造業者は、綿棒の正しい廃棄方法を包装に明記しなければならない規制をつくっています。また、サウジアラビアではプラスチック製品における政府承認の酸化型生分解性材料の使用を義務付けました。

世界で生分解性プラスチックの普及が進むと、新しい技術開発やコスト削減につながるでしょう。

まとめ

生分解性プラスチックの普及は、持続可能な社会の実現に必要不可欠です。生分解性プラスチックは環境を汚さず、二酸化炭素の排出を抑えることにもなります。これからの地球環境を守るために、ひとりひとりが世界の動きをキャッチアップしつつ、生分解性プラスチックの普及に協力していくことが求められます。

PEAKSMEDIA編集チーム

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