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Intersolar Europe 2023 Event Report

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太陽光発電関連でヨーロッパ最大規模の展示会Intersolar Europe 2023(以下、インターソーラー2023)をレポートします。

インターソーラー2023概要

インターソーラー2023は、太陽光発電および再生可能エネルギー産業の展示会および会議です。今年は5月14日から16日の3日間にわたって、ドイツのミュンヘンで開催されました。世界中の企業、研究機関、専門家が集まり、展示物には、太陽光パネル、インバーター、エネルギー貯蔵ソリューションなどが含まれます。

インターソーラー2023は同時開催の他展示会と合わせて合計2,800社以上の企業が出展するなど、ヨーロッパ最大級の展示会となっています。

太陽電池市場動向

まずは太陽電池市場動向について、「SolarPower Europe」が発表した、「Global Market Outlook for Solar Power 2023-2027」を元に外観をお伝えします。

出展元:https://www.solarpowereurope.org/insights/market-outlooks/

1.世界市場

2022年、新たに導入された世界の太陽電池は239GWとなりました。2021年の導入量が165GWである為、前年比144%の伸び率となっており、2022年は非常に多くの太陽電池がインストールされた年となりました。又、地域別で年度比較すると、インド、ブラジルといった新興国での導入が伸びていますが、中国が172%と非常に伸びている事が見て取れます。

(Global Market Outlook for Solar Powerより筆者作成)

2.主要プレイヤー

台湾の調査会社「Infolink」によりますと、2022年の主要プレイヤー別シェアでも、中国資本の企業が大半を占めているのが現状です。

出展元:https://www.infolink-group.com/energy-article/cn/solar-topic-2022-global-module-shipment-ranking

市場シェア 企業名 企業URL 生産国
1位 Longi https://www.longi.com/jp/ 中国
2位 Jinko Solar https://www.jinkosolar.com/jp/ 中国
3位 Trina Solar https://www.trinasolar.com/jp 中国
4位 JA Solar https://www.jasolar.com/html/japanese/ 中国
5位 Canadian Solar https://csisolar.co.jp/ 中国
6位 Risun Solar http://www.risunsolar.com/en/ 中国
7位 Chint power https://jp.chintpower.com/about/index.html 中国
8位 First Solar https://www.firstsolar.com/ja-JP 米国
9位 Hanwha Q CELLS https://www.hanwha.com/en.html 韓国

図2:2022年 太陽電池市場シェア(Infolinkより筆者作成)

3.日本の成長戦略

市場も商品も中国が覇権を握っているともいえる太陽電池市場ですが、日本は、横浜松蔭大学の宮坂教授が開発したペロブスカイト太陽電池の社会実装を目指しています。政府も「グリーンイノベーション基金事業」を通して、次世代型太陽電池(ペロブスカイト)の実用化に向け、498億円の予算を計上し、開発を支援しています。

図3: 「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトサマリー
(出展元:https://green-innovation.nedo.go.jp/project/next-generation-solar-cells/

展示会レポート

この様に現行(PERC)品ではなく、次世代を担うN型(ペロブスカイト)の開発に日本は注力している状況ですが、世界最大級の太陽電池展示会インターソーラー2023では、N型モジュールの注目度はどうであったのか。展示内容を中心にレポートしてまいります。

昨年、6万人以上が来場した展示会ということもあり、本年も大勢の来場者で埋め尽くされました。商談ブースはどこも満席で太陽電池に対する注目の高さを伺えました。

【LONGIブース】

その中でも、LONGiはひときわ目立つスペースに大きなブースを設定しており、来場者も多く、非常に賑わっていました。中でも注目の展示物はHJT、ペロブスカイトといったN型の展示物です。

【2681プロジェクト】

こちらの写真は2681プロジェクトという展示物です。発表によりますと、LONGiはペロブスカイト/シリコン・タンデム太陽電池セルで33.5%の変換効率を達成したとの事です。LONGiは研究開発に力を入れている企業で知られており、「2012年のIPO(株式上場)から2022年9月までの間、LONGiは研究開発に約180億人民元(日本円で約3529億円)以上を投資」(LONGi年次報告書,2023.05)しています。N型(TOPCon,HJT,ペロブスカイト)の開発においてもLONGiの動向は注目です。

参考URL:https://www.longi.com/jp/news/annual-report-for-2022/

【AIKO23.6】

AIKOは世界大手の太陽セルメーカーですが2022年に子会社のソーラー・グリッズを通して太陽電池市場に参入してきました。キーサプライヤーがモジュール製造を行うという点では、EVにおけるBYDのビジネスモデルと似ています。尚、AIKOは今回の展示会でIntersolar Award 2023を受賞されました。写真の展示物は23.6%と高い変換効率のABC型モジュール(バックコンタクト式TOPCon)となっており、銀を裏面に使用していない為、より環境に優しいプロダクトとなっています。

【HJT】
【ペロブスカイトーHJT】
【ポスター】

まとめ

今回の展示会の特徴としては、各社、PERC品よりN型のTOPConセルの展示物も多く、HJTやペロブスカイトのコンセプト品の展示物も数多く見受けられ、N型への移行が加速するのではと感じる展示会でした。個人的には、日本のペロブスカイトの研究開発に期待したいと思います。又、当メディアでは今後もペロブスカイト太陽電池やPV市場の動向についてレポートをしていきます。

PEAKSMEDIA編集チーム

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