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企業変革力とは?|変革を成功させるための段階や問題点・メリットについてわかりやすく解説!

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企業変革力は、変化の激しい今の時代に、企業が生き残るためには欠かせないスキルだと言われています。しかし、改めて定義や実現方法を考えると、詳しくはわからない方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、企業変革力とはどういうものなのか、具体的な8段階のプロセス、メリットや問題点などをわかりやすく丁寧に解説します。

企業変革力とは

企業変革力とは、変化の激しい時代において企業が成長し続けるために欠かせない、企業自身が大変革する力のことです。

『企業変革力』の著者ジョン・P・コッターによると、企業変革は、以下の8段階のプロセスを経て達成されます。

第1段階:危機意識をしっかりと持たせる
第2段階:変革を推進するチームを作る
第3段階:ビジョンと戦略を立てる
第4段階:ビジョンを全社員としっかり共有する
第5段階:社員を後押しできる体制を整える
第6段階:短期的な成果を上げる
第7段階:成功体験を活かして更なる変革を遂行する
第8段階:新しく作り上げた方法を定着させる

それぞれの段階については、次章で詳しく解説しますが、その前に、「なぜ企業変革力が重要なのか」を理解しておきましょう。

企業変革力が注目されている理由

企業変革力は、リーダーシップ論で有名なハーバードビジネススクールの名誉教授・ジョン・P・コッターが提唱しました。

長年世界中のビジネスマンに読まれ続けている著書『企業変革力』を参考にコッターの主張を要約すると、「重要なのは変化していく状況に適応するための、大規模な変革の旗振り役をできるリーダーシップ」となります。

10年後どころか、1〜2年先の状況すら読めない時代では、決まったルールやビジネスの定石に基づいて組織を運営するマネジメント能力だけでなく、時代に合わせた変革の舵取りを続けられるリーダーシップが求められているのです。特に日本では、バブル後の経済の低迷による経営悪化で、大企業ですらリストラを余儀なくされるなど、企業は変革をせざるを得なかったことから、リーダーシップの重要性が高まりました。

企業の大変革を成功させるための8つの段階

時代に合わせた変革を実行することは、この時代に企業を存続させるために必要不可欠な能力であることをご理解いただいたところで、具体的な変革のステップについて説明していきます。冒頭でも触れたように、企業の変革は8つの段階にて実行されます。

【企業の変革に必要な8つの段階】

  • 危機意識をしっかりと持たせる
  • 変革を推進するチームを作る
  • ビジョンと戦略を立てる
  • ビジョンを全社員としっかり共有する
  • 社員を後押しできるよう体制を整える
  • 短期的な成果をあげる
  • 成功体験を活かしてさらなる変革を遂行する
  • 新しく作り上げた方法を定着させる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

第1段階:危機意識をしっかりと持たせる

最初に重要なのは、「変革をしなければ生き残れない」という危機意識を全社で共有することです。自社や市場を分析して、現状を具体的なデータで把握します。

人は本能的に変化を嫌う生き物です。積極的な行動を促すためには全員が危機意識を持つことが欠かせません。全社員が自分事として変革を行っていける土台作りが最初の重要なステップです。

現状を分析して問題点を洗い出し、全社員一丸となって変革を目指すよう促すことがリーダーの最初の仕事なのです。

第2段階:変革を推進するチームを作る

危機意識の共有ができたら、次は変革を推進するためのチーム作りです。実際に変革を行えるだけの能力と、変革に対する特に強い想いを持ち、周囲を巻き込みながら実行していけるリーダーシップを備えた人材を集めましょう。意思決定のたびに経営層に相談して時間を無駄にしないよう、最初から経営陣が参加しておくのが理想です。

成功させるには、変革が進んでいくほど、変革推進チームも大きく成長させていかなければなりません。最初の段階で、変革を主導できるだけのスキルや人望を持っている人材を集められていれば、共感・共鳴した人が次々と仲間になって、変革推進チームはどんどん大きく成長していくはずです。

最初のチーム作りで、変革を中心となって引っ張っていくリーダーとなれる人材を集めるのがポイントです。

第3段階:ビジョンと戦略を立てる

危機意識の共有で現在の状況を把握し、ともに問題解決に取り掛かる変革推進チームができたら、次はビジョンと戦略を立てましょう。現状は、問題点を把握して改善の必要性を認識しただけです。このままでは目指すべきところが明確ではないため、進むべき方向を判断できません。

社員全員が理解して目指せるよう、明確かつ実現可能なビジョンを設定します。以下にこの段階で設定するべき優れたビジョンの特徴6つを紹介するので参考にしてください。

  • 目に見えやすい・・・数値など誰もがわかる形で、明確に将来が示されている
  • 実現が待望される・・・従業員・顧客・株主などステークホルダーが期待する長期的利益に訴えている
  • 実現可能である・・・現実的かつ達成可能である
  • 方向を示す・・・意思決定の参考になる明確な方向が示されている
  • 柔軟である・・・変化が激しい状況の中、個々人の行動や選択を尊重できる柔軟性がある
  • コミュニケートしやすい・・・5分以内で説明でき、理解してもらえる

第4段階:ビジョンを全社員としっかり共有する

大規模な変革を成功させるには、社内での支持を得ることが欠かせません。ビジョンの設定と戦略の立案ができたら、全社員としっかり共有しましょう。

個々人が自発的に貢献したいと考え、一丸となって達成したいと思うレベルで共感してもらえるまで伝え続けてください。社内報や朝礼・会議での告知のほか、変革チームが行動モデルとなり、普段の行動を通してビジョンを見せることでも伝えられます。

あらゆる手段を用いて何度も伝え、ビジョンの周知徹底をすることが、変革成功のカギです。

第5段階:社員を後押しできる体制を整える

ビジョンが浸透していくと、自発的に行動しようとする人が増えていきます。ここで重要なのが、ビジョンに共感した従業員が行動しやすい環境を整えることです。組織や制度を変え、自発的な行動を阻害する要因を排除しましょう。

たとえば、

  • ITツールの導入
  • コミュニケーションの強化
  • 意思決定プロセスの可視化

などの改革を行います。

「これまでどうしてきたか」にとらわれず、自由な発想で新しい体制を作ることが大切です。自発的な行動が当たり前となる文化、その土壌となる制度・企業風土を作り上げましょう。

第6段階:短期的な成果を上げる

変革には多大な労力がかかります。強いモチベーションが欠かせません。

このモチベーションを維持させるため、短期的な成果を上げましょう。また、短期的な成果に貢献した従業員には報酬を与えたり表彰をしたりと報酬を与えます。

これにより変革の成果が認識され、変革推進チーム以外の従業員に本気度を感じてもらうことができます。変革の実現可能性と必要性を伝えることもできるでしょう。

変革に必要不可欠な強いモチベーションを維持するためには、短期的な成果を見せることで、努力が報われることを実感させることが重要なのです。

第7段階:成功体験を活かして更なる変革を遂行する

短期的な成果による成功体験を活かし、更なる改革を遂行していきます。ビジョン達成を阻害する要因となる制度や組織の変革もそのままの勢いで行いましょう。

小さな成功を取っ掛かりとして、どんどん成功体験を積み上げ変革を進めていきます。成果を出して次の変革の勢いとするループを回していく段階です。変革に必要な人材の確保も行って変革を定着させるのです。

決して短期的な成果で満足せず、成功体験は次の成功の足がかりとし、変革の推進を止めないでください。

第8段階:新しく作り上げた方法を定着させる

最後に、これまでの行動と成功の関係を明らかにし、新しく作り上げた成功方法を企業文化として定着させます。古い方法の代わりに新しい習慣として定着するまで続けてください。変革はまだまだ手に入れたばかりの新しい武器。使い方をしっかりマスターして身につけるまでは気が抜けません。

また、次世代のリーダーや後継者の育成も同時に行いましょう。ここまで苦労して築き上げた方法や企業文化が正しく伝わることが大切です。新しいリーダーの元でも変革が継続しなければ失敗です。

ただ変革に成功するだけでなく、変革自体が企業文化として根付いて初めて、その企業は真に変革に成功したと言えるのです。

企業の変革を促すメリットと問題

最後に、企業の変革を促すメリットと問題をお伝えします。

変革には長い期間を要します。あとから「こんなはずじゃなかった」となるのを避けるためにも、取り組みをはじめる前に良い点も悪い点もしっかり確認しておきましょう。

メリット

まずメリットは、以下の3つあります。

【企業を変革させるメリット】

  • 企業の信頼性や効率性がアップ
  • ビジネスサイクルのスピードが上がる
  • 競争優位を保つことができる

変革に成功すると、業務フローの改善により効率が高まる、評価システムの整備により従業員満足度が高まり生産性が向上するなどのメリットがあります。これは結果的に、競争優位を保つことにも繋がります。

一方、変革には問題もあります。次の2点は必ず理解しておいてほしいことです。

【企業を変革するうえでの問題】

  • 従来のやり方に固執してしまう人材も少なからずいること
  • 強いリーダーシップが必要

人間は本能的に慣れた環境を好む生き物です。いくらビジョンの共有を徹底しても、反発が予想されます。特に若い社員には受け入れられても、勤続年数の長い社員や経営陣は従来にやり方に固執してしまうこともあるでしょう。そういった人に理解して協力してもらうには、8つの段階でもお伝えしたように、しっかりとビジョンや課題などを共有することが大切です。

変革に欠かせないリーダーは、自社で育て鍛え上げられる環境を整えましょう。カリスマ的なリーダーの登場を待つのではなく、育てる・育てられる体制を整えることが重要です。

まとめ

ジョン・P・コッターが提起した企業変革力について、その定義や8つの段階、メリットや問題について説明してきました。ここまでお伝えしたように、変革は変化の激しい現代の企業にとって、生き残るための必須スキルです。

これは製造業界も例外ではありません。変化が求められ、DXや組織のあり方が問われる難しい時代において、企業変革力は生き残るために欠かせない重要なものと言えるでしょう。

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PEAKSMEDIA編集チーム

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