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5R(ファイブアール)とは?5Rの重要性と企業の取り組み例を紹介

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5Rとは、循環型社会を作り出すための「R」から始まる5つのキーワードを指します。循環型社会の実現には、私たち一人一人が5Rへの意識を高めていく必要があるのです。企業が5Rへ取り組むことで、会社としての社会的な評価につながっていきます。

当記事では、5Rの概要や取り組む重要性、5Rに取り組んでいる企業について解説します。

5R(ファイブアール)とは?

5R(ファイブアール)とは、ゴミを減らすために必要な、Rから始まる以下5つの行動を表しています。

【5Rとは天然資源や地球環境を守る取り組みの頭文字】

     
  • Refuse(リフューズ)
  • Reduce(リデュース)
  • Reuse(リユース)
  • Repair(リペア)
  • Recycle(リサイクル)

それぞれの取り組みについて詳しく解説していきます。

Refuse(リフューズ)

Refuse(リフューズ)とは「断る」という意味です。

いずれゴミになるものを購入したり譲り受けたりしない行動を指します。

Refuse(リフューズ)の具体的な取り組み

Refuseの取り組みでは、ゴミになりそうなものを断る意識が大切です。コンビニやスーパーでもらうレジ袋を断れば、使い終わった後にゴミになりません。普段からマイバッグを持参し、手で持てるものであれば袋に入れずに持ち帰ればゴミを減らせられるのです。

Refuseの取り組みでは、不要なものを購入しない意識も大切です。買い物に行く際には、購入リストを用意して無駄な買い物をしないよう心がけると効果的です。欲しい商品があれば使い捨てではなく、長期的に使える商品を選ぶようにするとRefuseになります。

余計なものを買わない・もらわないと考えて行動していれば、ゴミになり得るものを所持する機会が減りRefuseにつながります。

Reduce(リデュース)

Reduceとは「削減する」という意味です。

ゴミや不用品が発生する機会を減らすための行動を指します。

Reduce(リデュース)の具体的な取り組み

Reduceは、洗剤は詰め替え品を購入する、ご飯を作りすぎないなどゴミが発生する機会を減らす取り組みです。詰め替え用のシャンプーを購入することで、本体のシャンプーボトルは何度も使うことができます。

エネルギーの無駄遣いを減らすこともReduceの取り組みの1つで、電気をつけっぱなしにしない・水を出しっぱなしにしない、といった行動もReduceになります。お風呂で利用するシャワーは、使用する電力や水の量を減らすことができるシャワーヘッドに交換する人が増えています。

他にも、洋服のトレンドに流されないこともReduceの取り組みといえるでしょう。物を購入するときに、長く使えるものを購入するよう意識すればゴミの発生を削減できます。

Reuse(リユース)

Reuseとは「再利用する」という意味です。

使ったものをすぐに捨てるのではなく、何度も使う行動を指します。

Reuse(リユース)の具体的な取り組み

Reuseは、容器や袋を再利用する・古くなった家具を違う用途で活用する、など購入したものを再利用する取り組みです。

例えば、リサイクルショップやフリーマーケットもReuseの取り組みになります。自分は使わなくなったものでも、誰かにとっては再利用できるものが多くあります。不要になったからといって廃棄してしまうのではなく、再利用できるように取り組んでいくとReuseになります。

着なくなった洋服を縫い直して新たな洋服を作り出す活動もReuseです。普段生活で利用していていらなくなったものでも、作り変えることで新たな価値を生み出します。

商品を購入するときに、使い捨てのものを選ばない意識もReuseの取り組みといえます。

Repair(リペア)

Repairとは「修理する」という意味です。

壊れてしまったものでも捨てずに修理して使うことで、ゴミを減らすことができます。

Repair(リペア)の具体的な取り組み

Repairの取り組みでは、Reuseで長く使って壊れてしまったものは、修理することでもう一度使えないかを考えることが大切です。

例えば、壊れた家電をすぐに買い替えるのではなく、直したら使えないかを考えます。普段から壊れたものを修理するという意識をもてば、ゴミを減らすことにつながるのです。着なくなった服や破れてしまった服も、直せばまた使えるようになります。

購入の段階で、修理すればまた使える商品を選ぶことも大切です。定期的にメンテナンスすることで長く利用できるようになるでしょう。

Recycle(リサイクル)

Recycleとは「再生利用する」という意味です。

廃棄物を加工して新たな製品を作り出すことで、ゴミではなく新しい商品の材料に生まれ変わります。

Recycle(リサイクル)の具体的な取り組み

Recycleは、Reuse・Repairで大切に使ってきたものを、最終的に自分にとっては不要になり違う形で再利用できないかを考える取り組みです。

例えば、紙やプラスチックなどのリサイクル可能な資源を正しく分別することは、今すぐできるRecycleの取り組みです。紙を燃えるゴミで出すのではなく廃品回収に出す、プラスチックは容器を洗って潰した後にリサイクルボックスに入れる、などの取り組みがRecycleです。

買った商品を違う形で再生利用できれば、ゴミを減らすことができます。

5Rの重要性

ゴミが及ぼす環境問題は、世界中で問題視されています。

プラスチック製品は世界中で生産され、私たちの生活が豊かになるよう様々な製品で利用されています。一方で、プラスチックは自然分解されず、ゴミとして山中や海中に流れていき環境を悪化させます。

プラスチックが海中に流れ出ると、海洋生物たちが餌と間違えて食べてしまいます。プラスチックは体内で分解されないため、海洋生物は満腹感を感じますが栄養を補給できず、最悪のケースでは餓死してしまうのです。

海洋汚染は、私たち人間の生活にも悪影響を及ぼします。プラスチックを食べた魚と知らずに人間が食べてしまうと、有害物質を体内に取り込むことになります。何も気にせずに捨てたゴミが最終的には環境汚染・健康被害につながっているのです。

これらの環境問題を解決するためには、個人や企業が5Rに取り組むことが重要です。近年、あらゆる国と地域の政府が適切なゴミ処理場を整備し、法律や規制を制定するなどの取り組みをおこなっています。

個人の5Rへの意識強化と、環境を保護する制度の両面から世界規模での対策を取っていくことが重要です。

企業における5Rの取り組みを紹介

企業ではどのような5Rの取り組みをしているのでしょうか。企業における5Rの取り組みを5つ紹介します。

【企業における5Rの取り組みを紹介】

     
  • 東芝ライテック株式会社
  • 株式会社コンステック
  • 信越化学工業株式会社
  • トヨタ自動車株式会社

東芝ライテック株式会社

東芝ライテックでは、鮮度維持装置を開発しています。

青果物の鮮度を保つため「鮮度を維持した状態で出荷したい」「腐敗を防ぐための薬剤をできれば使いたくない」という課題があったのです。そこで、東芝ライテックは、薬剤を使わないクリーンな手法である紫外線の除菌技術を応用した鮮度維持装置を開発しました。

鮮度維持装置では、紫外線の除菌効果により表面のカビを抑制することで腐敗を抑え、青果物の鮮度を保つようにしています。鮮度が維持されるため食品ロス問題の解消に貢献しています。

花王株式会社

花王では、シャンプーやリンスなどのプラスチック容器の削減、詰め替えによる本体容器の再利用に取り組んでいます。

例えば、内容物を濃縮化することでボトルをコンパクトに設計し、プラスチックの使用料を削減しています。詰め替え用の製品を使いやすくし、新たに本体容器を購入する機会の削減にも貢献しているのです。

また、プラスチックボトル自体をなくすという、新発想のフィルム容器を開発しました。詰め替え容器と同程度までプラスチック使用量を減らし、循環型社会の実現を目指しています。

信越化学工業株式会社

信越化学工業株式会社は、EVの電費改善につながる成形用シリコーンゴム「KE-5641-U」を開発しました。

電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)の高圧ケーブルには、高い耐電圧特性が必要です。高電圧・大電流化が進み、自動車メーカーからは配線作業がしやすく、柔軟性に優れた高圧ケーブルが求められています。

KE-5641-Uはこれらの課題を解決する成型用シリコーンゴムであり、ケーブルの細径化、軽量化を実現しました。これからの自動車業界の成長とともに、電力の有効活用に活かされるでしょう。

トヨタ自動車株式会社

トヨタグループの豊田メタルでは、自動車の99%をリサイクルして資源を回収しています。トヨタでは、設計の段階から解体・分別しやすい設計を心がけています。

トヨタグループは、車のカーボンニュートラル実現には、廃車のリサイクルが欠かせないと考えています。

それにより、今後ますます環境へ配慮した取り組みが強化されるでしょう。

製造業が5Rに取り組むことで得られるメリット

製造業が5Rに取り組むことで、どのようなメリットが得られるでしょうか。

     
  • 製品を差別化できる
  • 製造コストの削減に繋がる
  • ステークホルダーとの関係性が向上する
  • 企業イメージの向上に繋がる

それぞれのメリットについて解説します。

製品を差別化できる

企業が5Rに取り組めば、製品を差別化できます。

消費者が循環型社会に興味を持っている社会では、環境に配慮した製品は評価される傾向にあります。同じ商品でも5Rを意識した製品には付加価値が付き、価格競争からの脱却につながります。

5Rを意識した製品で差別化を図るときには、企業全体の5Rへの取り組みもアピールできるようにしましょう。

製造コストの削減に繋がる

製造プロセスにおける不必要な材料やエネルギーの使用を削減することで、原材料のコストやエネルギー費用を削減できます。大量に製品を製造している工場では、少しの削減でもそれが積もれば多額のコスト削減効果になるでしょう。

物を製造している背後では、多くの産業廃棄物(事業場ごみ)が発生します。廃棄物をそのまま捨てると廃棄物処理費用が発生しますが、廃棄物を循環利用することでコスト削減になります。

ステークホルダーとの関係性が向上する

5Rに取り組む企業で働く従業員は、循環型社会への寄与によって働くモチベーション向上が期待されます。企業が5Rに取り組めば従業員も環境への意識が高まり、社会全体で5Rへの取り組みが加速するでしょう。

また、世界の投資家にとってESG投資の割合が上昇しており、5Rに取り組む企業は投資対象として高く評価されます。

5RやSDGsの取り組みを就活の軸に置く学生が増えており、製造業が5Rに取り組むことで優秀な人材を確保できるようになります。5Rに取り組む企業は、ステークホルダーとの関係性向上にもつながるのです。

企業イメージの向上に繋がる

環境問題や社会問題に世界中が注目している中、企業には社会全体のことを考慮した動きが求められます。循環型社会と共存している企業は、社会からも評価されやすくなるのです。

5Rに取り組むことで企業のイメージアップにつながり、社会的評価が向上するでしょう。

まとめ

循環型社会が求められる中で、5Rへの取り組みがより注目されています。5Rとは、Refuse(リフューズ)、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Repair(リペア)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った言葉です。

個人での意識向上はもちろんのこと、企業も5Rの取り組みが求められています。5Rに取り組むことで企業価値の向上、製造コストの削減、製品の差別化などのメリットがあります。

5Rのことをよく理解することで、今後環境に配慮した行動につなげることができるでしょう。

PEAKSMEDIA編集チーム

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