MOBILITY

エアモビリティとは?|実現化で得られるメリットや今後の課題・国内外企業の動向を紹介!

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近年、エアモビリティの実用化に向けて、海外だけでなく国内でも取り組みが進められています。エアタクシー(空飛ぶクルマ)や、物流用の無人ドローンが普及すれば、さまざまな用途に役立てられ多大な経済的効果を期待できます。

この記事では、エアモビリティの実現化で得られるメリットや国内外企業の動向について解説します。

エアモビリティとは

エアモビリティとは、空中移動手段を示すことばで、人や物資を空中で自由に移動できる技術、あるいはサービスを意味します。

ドローンや空飛ぶクルマなど、新しい交通手段の一つになり得る可能性として注目されています。また、自動運転技術やAIなどと組み合わせることで、より安全に空中移動を実現できると期待され、今後ますます拡大していく分野であるとされています。

開発に向け、トヨタやホンダ、スズキやアウディなどの自動車メーカーもエアモビリティ事業への参入を発表しています。とはいえ、エアモビリティを実現するための法案やルールが敷かれていないこともあり、課題が多いことも事実です。有人での飛行は、安全を考慮して無人飛行の実証実験を経てからになる見通しです。

現在のエアモビリティ

現在のエアモビリティは、複数のプロペラを装着したドローンタイプと、飛行機のように大きな翼のある2種類があります。

また、2023年4月時点で構想が発表されているのは、eVTOL型エアモビリティです。eVTOL(読み方:イー・ブイトール)とは、electric Vertical Take-Off and Landingの略で、電動垂直離着陸型機を意味します。

垂直状態で離着陸が可能で、ドローンやヘリコプター、小型飛行機の特徴を併せ持った電動の機体です。政府は、2030年代の本格導入を目指しており「空飛ぶクルマ」の主流になるとされています。

エアモビリティのメリット

エアモビリティが実用化されると、以下のようなメリットを享受できます。

【エアモビリティのメリット】

     
  • 移動時間の短縮
  • 環境に優しい
  • アクセス困難な場所へも行きやすい
  • 災害時の救援活動がスムーズ
  • 大きな経済的効果が期待できる

移動時間の短縮

まず、移動時間を大幅に短縮できることが挙げられます。空の移動は地上のように制約が少ないため、最短のルートで目的地までたどり着けます。

環境に優しい

エアモビリティは、環境問題の改善にもつながります。

現代において、ECサイトを利用すれば自宅にいながら商品を購入でき、早ければその日に荷物が届くほどサービスが充実しています。フードデリバリーのサービスも充実しており、店舗へ行かなくても食べたいものをデリバリーできるようになりました。

しかし、配送サービスの充実とともに、道路は渋滞しやすくなり、大気汚染の問題やCO₂排出による環境への負担が発生します。

エアモビリティが実現化し、交通トラフィックの多い都心部での活用が広がれば、地上の渋滞や騒音、景観対策などの環境課題の解消を期待できます。

アクセス困難な場所へも行きやすい

空を移動できるため、アクセスが困難な離島や山間部などへも行きやすいことも大きなメリットです。

これまで、街や村をつなぐ最適なルートを確保するためには、川があれば橋を架ける必要があり、山を越えるためには峠道やトンネルの建設が必要でした。

空飛ぶ車であれば、大規模な道路や橋を建設する必要がありません。

また都市部では、ビルの屋上からまたビルへと直接移動するケースも考えられ、地下鉄を利用するような感覚でエアモビリティを利用できることが期待されています。

災害時の救援活動がスムーズ

エアモビリティは、災害時の救援活動にも活躍します。

大地震や津波などの災害時には、地上の道路は大渋滞が起こりやすくなります。そうなると、人の避難はもちろん、被災地までの救援物資の運搬や人命救助で駆けつけることが困難です。

エアモビリティであれば、被災地まで短時間での駆けつけが可能なため、人命救助活動や救援物資の輸送などを円滑に行えます。

海難事故や山岳救助、遠隔地における救急医療など、幅広い分野の救援活動が期待できます。

大きな経済的効果が期待できる

エアモビリティが実用化されることで、大きな経済効果が期待できます。

年末年始やゴーデンウィークなどの大型連休では、多くの人が移動するタイミングが重なり、大渋滞を引き起こします。渋滞を気にせず自由に移動できる空飛ぶクルマの需要はとても大きいと言えます。

例えば、エアモビリティの活用方法として以下のようなことが期待できます。

     
  • 都市部におけるエアタクシー
  • 地方都市間の交通
  • 遊覧観光・レジャー
  • 離島や過疎地における交通

空飛ぶクルマが実用化されることで、これらの交通が実現できるため、莫大な経済効果を生み出されると予測できます。

国内外のエアモビリティの動向

「空飛ぶクルマ」の実現に向けた活動は、国内外ともに活発であり加速傾向にあります。大手企業なども参入することが発表されており、今後ますます拡大することが期待されてます。

ここでは、実際にエアモビリティに取り組んでいる企業を紹介します。

Uber(海外企業)

アメリカの配車サービス大手Uber Technologiesは、韓国自動車メーカーのヒュンダイと、空飛ぶタクシーの共同開発をすることが発表されました。配車サービスをUberが担当し、製造はヒュンダイが実施。2023年からの商用サービス開始を目指しています。

都市部における「エアタクシー」や「空のライドシェア」は、UAM(読み方:ユー・エー・エム)Urban Air Mobility(都市型航空交通)と呼ばれています。

Uberは、eVTOL(電動垂直離着陸機)の活用により、ヘリコプターでの移動よりも運賃を安くする予定です。

Airbus(海外企業)

フランスの飛行機メーカーエアバス社は、ヘリコプター事業を手がける学校法人ヒラタ学園と、eVTOL(電動垂直離着陸機)を活用した、エアモビリティサービス開発の連携を発表しました。

このプロジェクトは、大阪府の「空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」の対象事業に認定されています。関西圏の最適な飛行ルートや運用構想、安全な運航に必要な装備品に関して、ヘリコプターによる検証飛行によって実施する予定です。

航空医療サービスや、民間航空輸送の専門的なノウハウを持つヒラタ学園との提携は、日本におけるエアモビリティの運用体制を確立する上で、理想的なパートナーであるとエアバスは述べています。

SkyDrive(日本企業)

空飛ぶクルマの開発を行う株式会社SkyDriveと、カナダの建設会社VPorts and Air Traffic Management Inc.(以下、VPorts)が業務提携しました。

VPortsによって、ドバイのAAM※・インテグレーター・ワールド・センターに、eVTOL(電動垂直離着陸機)の試験や運用が可能なエアモビリティのイノベーションハブ施設を建設予定で、2024年の完成を目指しています。

※Advanced Air Mobilityの頭文字をとった略語で、エアモビリティの総称

また、SkyDriveは、電動で小型の2人乗りの空飛ぶクルマ「SkyDrive式 SD-05型」の開発を手掛けており、2025年に開催される大阪万博での飛行を目標としています。

JAL(日本企業)

航空運送事業を手掛けるJALは、2025年の大阪・関西万博において、スマートモビリティ万博「空飛ぶクルマ」の運航事業者として選定されています。

JALは、空の移動革命に向けて次世代モビリティeVTOL(電動垂直離着陸機)の、日本における社会実装に向けた検討や準備をしています。

次世代モビリティの社会実装に向け、航空運送事業で得た長年のノウハウを活かし、大阪・関西万博において空飛ぶクルマを運航する予定です。

運行するエアモビリティは、ドイツのVolocopter GmbH社が開発する2人乗りマルチコプター型の電動垂直離着陸機で、万博会場内ポートと会場外ポートの2地点間における運航の実施を予定しています。

エアモビリティの課題

現状においてエアモビリティには、以下のような課題があげられます。

【エアモビリティの課題】

     
  • 新たな法律や規制の整備
  • 事故防止や安定飛行ができる技術の開発
  • 需要を創出するためのサービスや商品の開発
  • インフラやプラットホームの確保

新たな法律や規制の整備

エアモビリティ実用化のためには、新たな法律や規制の整備が必要です。

現在の法律では、空飛ぶクルマは航空法の規制対象となる可能性が高く、ヘリコプターや航空機と同様の規制がかけられることが予想されます。

例えば、安全性を確保しながら、規制を現実的に飛行可能とするレベルへ調整するなど、法を整備することが求められます。また、飛行機よりも低空を飛行する空飛ぶクルマは、地上権の問題にも関わってくると予測できます。現在の航空法ではカバーできない課題の発生が考えられるため、さまざまな調整が必要となります。

事故防止や安定飛行ができる技術の開発

エアモビリティ実用化の大きな課題は、事故の防止や安定飛行が可能な技術開発が必要なことです。

人を乗せて飛行する空飛ぶクルマには、車の自動運転やドローンよりもさらに高度な安全性が求めらます。万一、エアモビリティが事故を起こした場合、墜落の可能性が高く、さらに地上での2次事故を起こす可能性もあります。

また、電動を前提としているため、より少電力で長く飛行可能なバッテリーの高容量化や軽量化が重要で、本体を軽量化する技術も必要です。

これら課題を解消するためには、安定飛行が可能な技術力が必要不可欠なのです。

需要を創出するためのサービスや商品の開発

今後、企業が新たに事業を展開していく中で、これまでに無いサービスを提供するためには、利用者にとって魅力的な商品やサービスを創出することが求められます。

そもそも需要がなければ、技術の発展につながらず、一般社会で普及しにくいからです。

例えば、エアタクシーであれば高い安全性を保った便利なサービスや、、モノを確実に運搬できる商品かなど、ユーザーが安心して納得できるような商材を開発することが求められます。

インフラやプラットホームの確保

エアモビリティは、新しいサービスのため、これまでとは異なるタイプのインフラやプラットホームの確保が必要となります。

例えば、飛行機の離着陸には空港が必要であるように、空飛ぶクルマが離着陸するヘリポートのようなプラットホームや、バッテリーを充電できるスポットの整備が求められます。

特に、飛行1回ごとに充電が必要となるため、充電スポットは数多く必要となるでしょう。

まとめ

エアモビリティの実用化には、法律やさまざまな規制、インフラやプラットホームの整備など、解決すべき課題は多く残っています。

しかし現在、各事業者において、技術の開発やインフラの整備などが積極的に行われており、実用化に向けて着々と準備が進められています。私たち個人が、エアタクシーに乗ってビルの隙間を移動する日も近いかもしれません。

PEAKSMEDIA編集チーム

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