MOBILITY

エアバッグの役割とは?仕組みや作動条件についてわかりやすく解説

SHAREこの記事をシェアする

衝突事故によって、大きな衝撃から身体を保護してくれるエアバッグ。

近年において、その性能は向上し、さまざまな種類のエアバッグが誕生しています。しかし、エアバッグはどのような仕組みで作動しているのか、詳しくは知ない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、エアバッグの役割や歴史、その仕組みや作動する条件、市場シェアなどを分かりやすく解説しています。

エアバッグの役割とは?

エアバッグは、自動車事故の際にシートベルトをした状態の乗員を保護する目的で、物理的な衝撃を吸収させる役割があります。

エアバッグが格納されている箇所には、「SRS AIRBAG」と印されています。SRSとは「Supplemental(補助) Restraint(拘束) System(装置)」を略したことばです。2023年現在において、ほぼ全ての車種に標準装備されています。

一般的にエアバッグは、ダッシュボードやハンドルの内側に格納されています。事故によりセンサーが強い衝撃を感知するとガス発生装置のスイッチが入り、瞬時に(0.03秒)エアバッグへガスが送りこまれます。ダッシュボードやハンドルなどに乗員の顔や身体が叩きつけられる前に、エアバッグが時速100km~300kmでふくらむことで致命傷を防ぐのです。

エアバッグの種類

同じ車種でも、グレードやオプションによってどんなエアバッグが搭載されているかが異なります。

自動車を購入する際には、エアバッグの種類や格納場所をしっかり確認しておくことを推奨します。

【エアバッグの種類】

     
  • フロントエアバック
  • サイドエアバッグ
  • サイドカーテンエアバッグ
  • 後席センターエアバック
  • 歩行者保護エアバッグ

フロントエアバッグ

最も代表的な格納場所がハンドルです。ハンドル中央の内部にエアバッグが格納されることが一般的です。

追突した際の衝撃などでクルマが急減速・急停止した際、運転手の頭部や胴体がハンドルへ強く打ち付けられることを防ぎます。そのため、エアバッグを搭載する最優先箇所がハンドルとなっています。

また助手席のエアバッグは、グローブボックス(ダッシュボード)の上部あたりに格納されていることが多いです。知人や家族を乗せる際、同乗者を守ってくれることでしょう。

サイドエアバッグ

横からの衝突に対応するため、座席の外側(ドア側)にエアバッグが格納されています。側面衝突や斜めからの衝撃にも乗員の体を守る役割を果たします。

サイドカーテンエアバッグ

ドア上部のルーフ部に格納されているのが、サイドカーテンエアバッグです。
事故の衝撃をセンサーが感知すると、ドアと座席の間にブラインドが降りてくるように入り込み、乗員の頭部と胸部を保護します。

特に、車が横転したときに重要となるエアバッグです。

後席センターエアバッグ

後部座席の同乗者を守るためのエアバッグで、乗員同士がぶつからないよう保護される設計。席のセンター付近に設置され、車の衝突時にエアバッグが開く仕組みです。

歩行者保護エアバッグ

歩行者保護エアバッグは、 車両の速度が約25km/h~60km/hで走行している際、歩行者や歩行者と同じような大きさ・重さの物体と衝突するとセンサーが感知し作動します。

歩行者とクルマの前面が衝突したときに、歩行者の頭部への重大な障害を軽減するエアバッグです。

エアバッグの歴史

一般的に世界中で広く使用されているようになった火薬を用いて起動させる方式のエアバッグを発明したのは、特許申請事務代行業を営んでいた小堀保三郎氏と言われています。

当初は、航空機事故の際に人体への衝撃を和らげ、生存率を改善させる装置として1963年に開発されました。当時としてはあまりに奇抜な発想だったため、発表の場では日本人の関係者からは失笑を買い、火薬の使用が当時の消防法に抵触してしまうことから、日本でエアバッグが開発されることはありませんでした。

最初の市販自動車への採用は1981年で、メルセデス・ベンツが最高級モデルSクラスへオプションとして装備されました。

その後1987年、国産車で最初にエアバッグを搭載したのは、ホンダ レジェンドとされています。当初は運転席のみに実装され、こちらもオプションでの装備でした。

その2年後には、トヨタの「セルシオ」、日産の「インフィニティQ45」が標準装備として販売を開始したことで、国内でも急速にエアバッグが普及し始めたのです。

エアバッグのシステム構成

ここでは、エアバッグの基本的な仕組みについて解説します。

製造段階においては、厳重な開発試験と安全性能検査が行われています。

エアバッグの仕組み

エアバッグシステムは以下のパーツによって構成されています。

     
  • 加速度センサー
  • バッグ
  • ECU※(電子制御装置)
  • インフレーター

※ECUとは、「Electronic Control Unit」の略語で、コンピューターや周辺機器から構成されたクルマに搭載される電子制御ユニットのことです。

クルマが衝突すると、加速度センサーが衝撃を感知し、ECUがエアバッグを膨らませるかを判断します。その後、インフレーターの火薬に着火され、燃焼することで化学反応によってガスが発生してエアバッグがふくらむという仕組みです。

エアバッグの安全性能検査

人の命を預かる装置のため、製造段階においては厳重な展開試験を行います。

人を模した人形を同乗させたクルマを、時速40km〜60kmで走行させて衝突実験を繰り返し撮影します。1秒間に5000コマの撮影が可能な超高速カメラを使用し、衝突時の人形の身体をいかに保護できるのかを検査するのです。

エアバッグのモジュール(システムを構成するユニット)は、最長で1週間のあいだ湿度を自在に変化できる試験装置に入れ、性能に変化がないかを調査します。また、振動や太陽光からどのように影響するかも計測します。

モジュールは小型化の競争が激化しており、1990年代から比較して現代では3分の1にまでに小型化されました。それまで、ハンドルのデザインには制限がありましたが、モジュールが小型化されたことでよりデザインの自由度も広がったのです。

エアバッグ業界のシェアの分析

調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば、2021年におけるエアバッグ業界の市場規模は479億ドルでした。2029年にかけて、年間の平均成長率は7.3%で成長するとされ、同年には818億ドルへと規模が拡大する見込みです。

エアバッグ業界における関連企業は、生地を制作する原糸製造メーカーや生地メーカー、縫製メーカー、インフレーターメーカー、コントローラーなどのエアバックメーカーなどにわかれます。

2021年のエアバッグメーカー世界市場シェアと、業界ランキングは以下の通りです。

順位 企業名 シェア
1位 オートリブ 11.3%
2位 ジョイソンセイフティ・システムズ 7.6%
3位 豊田合成 4.8%
4位 ZF 4.1%

エアバックの未来

ハンドルや助手席のダッシュボードに組み込まれることが一般的なエアバッグですが、その種類は多様化しています。一部の車種ではシートベルト内蔵型のエアバッグや、膝下を守るニーエアバッグ、運転席や助手席の後部に搭載される後部座席用エアバッグなどが登場しています。

自動運転時代を想定し、乗員だけでなく外部の人を守るエアバッグも開発されており、歩行者を守る歩行者用のエアバッグを搭載した車両も販売されています。

将来的に、自動車全体が衝撃を和らげられる素材を使用した「エアバッグカー」も開発されようとしています。

まとめ

エアバッグの役割は、クルマのシートベルトが着用された状態の乗員が、事故などの衝撃から身体を守ることです。開発者は日本人であるとされ、当初は高級車のオプションとして用意されていましたが、現代においては多くの車に標準機能として搭載されるようになりました。

人の命を守る大切な役割をするエアバッグは日々進化しており、同乗者だけでなく外部を歩く歩行者も保護できる機能を搭載した車両が販売されています。

今後も、ますます高性能で多様な種類のエアバッグの開発に目がはなせません。

こちらの記事もおすすめ

PEAKSMEDIA編集チーム

PEAKS MEDIAは製造業の変革やオープンイノベーションを後押しする取材記事やお役立ち情報を発信するウェブサイトです。

際立った技術、素材、人、企業など多様な「 PEAKS 」を各企画で紹介し、改革を進める企業内イノベーターを1歩後押しする情報をお届けします​。

SHAREこの記事をシェアする