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万博とは?開催の歴史と2025年大阪万博の見どころ・チャンスを紹介!

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万博(国際博覧会)とは、科学・技術の発展、環境保全などさまざまなテーマをモチーフに開催される国際的な催しです。万博をきっかけにエレベーターやリニアモーターカーが発表されるなど、新技術の誕生にも寄与する重要なイベントとなっています。

直近では2025年に日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催が決まっているものの、「万博の歴史をあまり知らない」「大阪・関西万博の魅力を知っておきたい」という方もいるのではないでしょうか。

この記事では、世界や日本における万博の歴史や、大阪・関西万博の見どころ、ビジネスチャンスについて解説します。(※本記事の内容は、2023年4月19日時点の公開情報をもとに執筆しています。※本記事の使用画像はイメージです)

万博(国際博覧会)とは?

万博(国際博覧会)とは、「国際博覧会条約」に基づきBIE(Buereau International des Expostitions/博覧会事務局)から認められたものを指します。

同条約は、国際博覧会を以下のように定義しています。

「二以上の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう」

また万博の種類は、現在、5年の間隔を空けて開催する大規模な「登録博覧会」と、登録博覧会の間に1度だけ開催できる25ヘクタール以内の小規模な「認定博覧会」に分けられています。

世界における万博の歴史

世界初の万博は、1851年にロンドンのハイドパークで催された「第1回ロンドン万博博覧会」です。25ヶ国が参加し、ビクトリア女王などもかけつけて盛り上がりを見せました。日本が初めて万博に参加(出展)したのは、1867年の「第2回パリ万博」からです。

先ほどの「国際博覧会条約」は1928年に署名されました。また、1939年からの第二次世界大戦により18年間、中止を余儀なくされましたが1958年のブリュッセル万博から再開できています。

近年、日本以外で開催された登録博は、2015年のミラノ国際博覧会や2021年のドバイ国際博覧会が挙げられます。

日本における万博の歴史

実を言うと日本での万博開催は、さまざまな事情で見送られてきた歴史があります。まず1890年は「時期尚早」という理由で、1940年は入場券の発売まで準備していましたが「第二次世界大戦」により開催できませんでした。そして、戦後になってようやく開催のチャンスが訪れたのです。

【日本で開催された歴代万博】

     
  • 1970年 日本万国博覧会(大阪万博)
  • 1975年 沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)
  • 1985年 国際科学技術博覧会(つくば博)
  • 1990年 国際花と緑の博覧会(花博)
  • 2005年 2005年日本国際博覧会(愛・地球博)

1970年日本万国博覧会(大阪万博)

日本初となる日本万博博覧会(大阪万博)は、「人類の進歩と調和」をテーマに1970年に開催されました。世界76ヵ国が参加し、海外の来賓は4,800人を超えました。183日間の開催で、約6,400万人もの入場者数(※1日当たりの最高入場者数83.6万人)があったことから当時の熱狂ぶりがわかります。

芸術家の岡本太郎氏が手がけた「太陽の塔」をはじめ、「こどもの国 エキスポランド」、「過去・現在・未来 展示館」など展示や催し物が目白押しでした。

1975年 沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)

世界初、海洋をテーマにした万博が「沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)」です。特定のテーマに絞ったことから「特別博」とも呼ばれました(※当時の博覧会は、一般博と特別博の2つに分けられていました)。

半浮遊式海洋構造物「アクアポリス」や「海洋文化館」、「海洋生物園」、「水の階段」など沖縄の豊かな海を活かした展示や施設がありました。

1985年 国際科学技術博覧会(つくば博)

国際科学技術博覧会(つくば博)は、茨城県を舞台に「人間・居住・環境と科学技術」をテーマに、世界48ヶ国、37の国際機関が参加したものです。

1985年当時の最新映像技術を活かしたアトラクションが展示され、「NEC C&C パビリオン」「富士通パビリオン」「日本アイー・ビー・エム館」などが人気を集めました。すでに「リニアモーターカー」や「モノレール」も会場には展示されていました。

1990年 国際花と緑の博覧会(花博)

国際花と緑の博覧会(花博)は、「自然と人間との共生」をテーマに大阪で開催された特別万博です。入場者総数は2,300万人を超えました。

2005年 日本国際博覧会(愛・地球博)

直近の開催は2005年の「日本国際博覧会(愛・地球博)」。自然の叡智をテーマとし、21世紀初の万博です。

人類の科学・技術はめざましく発展を遂げる一方で、自然界への影響も大きくさまざまなシグナルを発していることから、「いのち」の持続可能な共生を、全人類共通の課題と捉えて展示や施設を展開しました。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の目的

前回開催から20年の時を経て、2025年に「日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開催されます。今回の万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマに据え、「Saving Lives(いのちを救う)」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」を3つのサブテーマとします。

大阪万博の開催目的について、以下3点を紹介します。

SDGsの達成

国連は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成目標年を2030年に掲げてきました。2025年は残り5年と迫る節目の年であり、2030年までの達成に向け多くの人が協力し合うプラットフォームに大阪万博がなるでしょう。

SDGsは貧困や飢餓、教育、エネルギー、気候変動、海洋資源、平和といった17テーマに目標が設けられており、誰一人残さない持続可能でより良い社会の実現を目指すものです。

 Society5.0の実現

大阪万博は、日本の国家戦略として「Soceity5.0」を以下のように定義しています。

「Society 5.0」 とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会です。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会を指します。

【引用】開催目的|EXPO2025

Society4.0までの社会活動には人間の能力(人的リソース)が必須でした。しかし人手不足により、さまざまな社会問題が生じてしまいます。そこでSociety5.0ではIoTやAI、ロボティクスなどの技術を用い、「自動運転」「介護ロボット」「AIによる情報処理」といった人間の能力が不要となる社会活動を目指します。Soceity5.0の実現で、人々はより快適に生活できるようになるでしょう。

地域経済活性化

大阪万博は、日本全体や関西圏の経済活性化のきっかけとなり、約2兆円の経済波及効果が見込まれています。

歴代の万博はエレベーター(フィラデルフィア万博)やファミリーレストラン、電気自動車(大阪万博)、AED(愛・地球博)など新しい技術・商品が誕生する場でもありました。このイベントを存分に活用することでビジネスチャンスをつかむことができるかもしれません。

2025年大阪・関西万博の見どころ

開催時に注目したい大阪・関西万博の見どころをいくつか紹介します。

Society5.0に向けた最新技術

Society5.0を実現するための最新技術がいくつも展示される予定です。EXPO2025の基本計画によると、下図のような「空飛ぶクルマ」や「MaaS」、「5Gネットワーク」、「自動翻訳」などの技術を体験することができるようです。

【引用】2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」基本計画|EXPO2025

中でも注目を集めるであろう「空飛ぶクルマ」の運行事業者は、ANAやJAL、丸紅、SkyDriveなど5社。それぞれアメリカやドイツ、イギリスが開発した機種を運行予定です。唯一の国産車であるSkyDriveの「SD-05」は、日本初となる国土交通省の型式証明取得も目指しています。

MaaS(Mobility as a Service)とは地域住民や旅行者の移動ニーズに対応し、さまざまな公共交通や移動サービスを組み合わせ、検索・予約・決済をまとめて行うサービス・移動概念です。鉄道やバス、旅客機に限らずカーシェアや自動運転、超小型モビリティ、空飛ぶクルマなど多様な移動手段もMaaSの一つと言えるでしょう。

2020年より全国に普及している5Gネットワークは、万博の会場において高速・大容量・低遅延・多数自動接続を提供する重要インフラとして位置づけられています。また、都市の行政や物流、交通などの応用ソフトウェアを動かす基盤となる「都市OS」や、5GとARを組み合わせてリアルタイムに個人情報を確認できる「次世代SNS」といった最新技術も開場で展示されるかもしれません(※2020年時点の計画案)。

※参考サイト:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)基本計画|EXPO2025
People’s Living Lab 促進会議万博会場で実現したい「未来社会(技術・サービス)」アイデア提案|公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

企業・団体によるパビリオン

民間企業や団体によるパビリオン(展示館)が設けられ、各分野・技術を用いて未来社会が提示される予定です。民間企業では、バンダイナムコや日本ガス、吉本興業、NTTなどさまざまな業界から出展が決まっています。

モノづくりに関わるパビリオンとしては、「パナソニックパビリオン(仮称)」が「ノモの国」を手がける予定です。“解き放て。こころとからだと じぶんとせかい。”をコンセプトとして、2010年以降に生まれたα世代をターゲットに「ノモの国」の体験を届けます。

詳細は明かされていませんが、子どもたちが未来社会に希望を抱けるようなパビリオンとなっているようです。
※参考サイト:民間パビリオン|EXPO2025

EXPO COMMONS(旧サイバー万博)

直接、会場に行けなくとも万博を楽しめるプログラムが「EXPO COMMONS」です。これはリアル会場のプログラムとは異なるプログラムを、オンライン空間上で展開するもの。以前から予定していた「サイバー万博」から名称変更されました。

国境や人種、文化を超え、人間・生物・地域の命を持続させるため、すでにアクションを起こしている方々を呼んでオンライントークイベントを開催するなど、他にもさまざまな企画を検討しているようです。

大阪・関西万博が製造業にもたらすチャンス

大阪・関西万博は、製造業にどのようなチャンスをもたらすのでしょうか。大きく2つのポイントについて解説します。

協賛企業としての参加

協賛企業として万博に参加することで、自社の新商品・新技術をアピールするチャンスとなるでしょう。


EXPO創業事業では、2025年4月11日(金)17時までEXPO2025の公式サイトで協賛企業を受け付けています。申請書に必要事項を記入し、Wordファイルを事務局宛に送ることで申請可能です。

イノベーションのヒントやパートナー獲得

自社の展示を持っていなくとも大阪・関西万博は、新技術や新商品の宝庫です。会場を見学するだけでもイノベーションのヒントを得られたり、ビジネスパートナーを見つけるチャンスにもなるかもしれません。

大阪・関西万博の開催期間は、2024年4月13日〜10月13日までの予定です。会場に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

万博(国際博覧会)は世界中からヒト・モノ・情報が集まって最新の叡智が集約される場です。各界のイノベーションを間近で感じられ、ビジネスパートナーを見つける場としても活用できます。2025年開催の大阪・関西万博をビジネスに活かしてはいかがでしょうか。

PEAKSMEDIA編集チーム

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