
日立製作所は2026年10月15日、社会インフラや産業設備の外観検査で、検査に使える画像の取得率を高める露光自動選択技術を開発したと発表した。鉄道車両の床下検査を対象にした実証では、検査に利用可能な画像の割合を従来の通常撮影の48.8%から89%に改善した。
検査対象の部品や領域に着目して露光を選ぶ
露光とは、撮影時にセンサーに当たる光の量である。明暗差の激しい現場では、明るい部分が白くなりすぎる白飛びや、暗い部分が黒くなりすぎる黒つぶれが起き、対象の形や状態を判別しにくくなる。従来は巡回を終えて画像を確認してから品質不足が判明するため、再撮影や再検査が必要になることがあった。
開発した技術は、ロボットなどの移動体が撮影する画像を対象とする。移動体は、検査現場を移動しながら撮影や計測を手がけるロボットや車両などの機器を指す。明るさの異なる複数の画像を組み合わせるHDR技術を使う際、画像全体の明るさではなく、検査対象の部品や領域に着目して撮影環境に応じた露光を自動的に選ぶ。さらに、撮影済みの画像から不足している情報を判断し、それを補うように露光時間やゲイン、ズームといった撮影パラメータを調整する。これにより、明暗差が激しい環境でも検査に必要な情報を効率よく取得できる。
実証は鉄道車両の床下検査を対象に実施した。外側が明るく検査対象が暗いという厳しい撮影環境でも、床下機器やボルトなどを確認しやすく撮影できた。限られた人員でも検査に使える画像を安定して確保しやすくなり、再撮影や再検査の発生を抑えられる。

フィジカルAIへの発展とプラント・電力分野への展開
日立は今後、社内実証を通じて有効性を高めるとともに、品質不足の原因に応じた追加対策と、自律的な再撮影や撮影条件の変更の仕組みの開発を進める。ロボットやドローンの自律制御と組み合わせてフィジカルAI技術へ発展させ、鉄道のほかプラントや電力の分野への適用を検討する。
本技術はLumada 3.0の強化要素に位置づけ、検査結果から異常検知や予兆診断につなげる構想を描く。予兆診断は、故障や異常の前兆を事前に把握する取り組みを指す。
本成果の一部は、2026年9月27日に米国ペンシルベニア州ピッツバーグで開かれた2026 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS 2026)のFull-Shift Robot Co-Workers Workshopで発表し、Best Poster Awardを受けた。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000152541.html
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