
再生可能エネルギーのなかで唯一、天候に左右されないベースロード電源として期待される地熱発電。その普及を支える設備エンジニアリングの領域で、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下TGES)が新たな実績を積み上げた。TGESは2026年4月16日、熊本県阿蘇郡小国町のわいた地区に建設してきた「わいた第2地熱発電所」の発電および熱輸送設備の建設工事が完了したと発表した。4月15日に竣工式が執り行われた。
本発電所はTGESが初めて発電・熱輸送設備の設計・施工を担った地熱発電所だ。発電出力は4,995kW、年間想定発電量は約3,500万kWh(一般家庭約8,950世帯分相当)で、シングルフラッシュ方式を採用する。シングルフラッシュとは、高温高圧の地熱流体を地上の汽水分離器で一度だけ減圧し、分離した蒸気でタービンを回して発電する仕組みだ。発電所の運営はふるさと熱電とわいた地区の住民30世帯で構成する合同会社わいた会が連携して担う。
このプロジェクトの特色は、地域住民が主体となる「わいたモデル」にある。発電所の建設・運営に地元が深く関与し、売電収益の一部を地区の整備や産業創出に還元する仕組みを組み込む。2015年に運転を開始したわいた第1地熱発電所(1,995kW)に続く第2弾で、第1発電所の10年間の運営実績とノウハウを土台に建設が進められた。建設費の総投資規模は80億円で、あおぞら銀行や脱炭素化支援機構などの金融機関が参画するプロジェクトファイナンスで資金を調達した。
TGESはLNG基地・地域冷暖房・エネルギーサービスなどで蓄積してきたエンジニアリングノウハウを地熱発電に展開している。ふるさと熱電とは、地熱発電プラントのライフサイクルコスト最適化に向けた協業覚書を2025年1月に締結済みで、熱のカスケード利用による高効率化などを進める予定だ。
地熱発電は資源量で世界第3位を誇る日本にとって有望な国産エネルギー源だが、開発コストと地元合意形成の難しさが普及の壁となってきた。わいたモデルは地域共生と事業性を両立する先行事例として、製造業を含む産業界のエネルギー自給・脱炭素戦略を考えるうえでの参照モデルとなる。
TGESは今後も再生可能エネルギー分野のエンジニアリングを拡大する方針で、地熱に加え洋上風力発電プロジェクトへの参画も進めている。2026年3月にはアイエックスリニューアブルズ社と洋上風力での協業基本合意を締結した。脱炭素を本業の課題として抱える製造業にとっても、電力調達先の多様化や自社工場への再エネ導入を検討する際、こうした地域密着型かつベースロード志向の地熱プロジェクトは電力供給の選択肢として注目に値する。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001414.000021766.html
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