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深化と探索(両利きの経営)とは?|成功・失敗事例や実践のポイントを紹介!

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「深化」と「探索」は、この変化の激しい時代の会社経営において、欠かすことのできない考え方「両利きの経営」を支える2つの柱です。本記事では、事業の安定と新規開拓をバランスよく実現する深化と探索について、事例を交えながら深堀りしていきます。

自社を、どんな時代でも生き残り成長し続ける企業へ育てたいリーダー層の方は、ぜひ最後までお読みください。

深化と探索とは?

深化と探索とは、チャールズ・A・オライリーが提唱した言葉で、現代社会で会社を運営する上で必要とされている考え方です。同名の日本語訳の書籍も出版されています。

深化と探索は両利きの経営の2つの軸です。会社を存続・成長させるには、現在行っている事業を安定させること(深化)と、新しい挑戦・イノベーション(探索)の両方をバランスよく行うことが大切だとする考え方です。

「深化」と「探索」それぞれについて、例を挙げながらもう少し詳しく見ていきましょう。

深化の意味

「深化」とは、事業を安定させるために、既存の事業を深堀りすることです。たとえば、品質改善や性能向上、業務の効率化がこれにあたります。

企業は成功すればするほど、その原因となった既存事業を大切にする、つまり深化に重きを置きやすくなりますが、長期的に見ると深化だけでは企業の成長は止まってしまいます。

すでに成功した分野に力を入れたくなるのは当然ですが、次に説明する探索を正しく実践できるかどうかが、その企業の将来を左右する重要な要因となります。

探索の意味

経営において容易ではないが重要だと言われているのが「探索」です。新製品の開発や新しい領域の展開など、既存の枠を飛び出し新しいイノベーションを起こすのです。

たとえば、ネット書店としてはじまったAmazonは、オンラインスーパーへと事業を広げたり、マーケットプレイスへの転身やクラウドサービス業界への参入をしました。変化の激しい時代において、常にニーズを敏感に察知して改革を続けた結果、現在のような世界一のECサイトにまで成長したのです。

探索において大切なのは、これまで築いてきた資産や組織としての能力を発揮できる状態であることです。

深化と探索の成功例

次に、深化と探索の成功例を見ていきましょう。

富士フイルムは、デジタルカメラの普及などによりフイルムの売上が急激に減った際に、そのフイルム技術を深める「深化」と、それを別の製品・サービスで役立てる「探索」を両立させました。これにより、美容や医薬品などへの参入が成功します。

【富士フイルムの変遷】

  • カメラのデジタル化への挑戦:デジタルカメラへの事業展開
  • 写真フイルム事業衰退の危機:化粧品業界、医薬業界へ展開
  • 更なる成長への挑戦:バイオCDMO事業に参入

同社は、それまで培ってきた自社の技術は大切にしながらも、強みを柔軟に発揮することに努め、人々と写真の関係の変化にも対応しました。一方、以前はフイルム業界でトップを誇ったコダックは、ライバルである富士フイルムとの競争だけを見てしまい、市場を見られていなかったと言えるでしょう。また、投資に対して積極的でなかったことも、明暗を分ける一因となったようです。

深化と探索を実施するメリット

深化と探索により右肩下がりの業界から大きな飛躍を遂げることもできることをお話しましたが、ここではさらにほかのメリットも深堀りして見ていきましょう。

【深化と探索を実施するメリット】

  • スタートアップを有利に進められる
  • ビジネスサイクルをスピードアップできる

スタートアップは規模が小さく、成熟した企業に比べると、圧倒的に意思決定のスピードが早いという特徴があります。当然、深化と探索のサイクルもスピード感を持って回すことができます。これは、激しい時代の変化・ニーズへの適応が求められる現代の経営環境において有利な点と言えるでしょう。

深化と探索の問題点

次に、深化と探索の問題点や課題を見ていきましょう。

【深化と探索の問題点】

  • バランスを取るのが難しい
  • 既存事業に固執しがち

短期的に見て利益が期待できる深化に偏りがちなのは大きな問題と言えるでしょう。成果が出やすい深化は継続しやすいのです。また、長年勤めている上層部の社員は、なかなか新しい考えを取り入れにくいものです。

探索には知識と経験が必要であり、時間もかかります。しかし、ここに根気強く取り組むことが重要なのです。

深化と探索の失敗例 

次は、実際に、深化と探索に失敗した事例を紹介します。

失敗した企業失敗内容
シアーズ・ローバック新しい業態の勃興や人口動態に対応できず衰退
コダックフイルムという分野から抜け出せず衰退

シアーズ・ローバックは、以前に一度両利きの経営で危機を乗り越えた経験があるにも関わらず、抜本的改革ができなかったことにより時代の変化に適応できませんでした。一方コダックは、それまで同社が国内シェア1位を誇っていたフイルムという分野を抜け出し探索することができず、衰退してしまいました。

【両利き経営が失敗する原因】

  • 深化ばかりに力を入れてしまった
  • 深化に慣れており探索を受け入れられなかった
  • 組織が深化と探索を深く理解していなかった
  • 深化と探索の適性をわかっていなかった

両利きの経営を成功させるには、バランスが大切なのです。

バランスよく深化と探索を実践する方法

深化と探索をバランスよく実践する方法には、以下の3つがあります。

  • 時間の経過とともに深化→探索へ移行する
  • 深化ユニットと探索ユニットに分けて同時進行する
  • 個人単位で深化と探索の業務ができる組織体制を作る

それぞれ詳しく見ていきましょう。

時間の経過とともに深化→探索へ移行する

まずは、時間の経過とともに深化から探索へ移行することです。つまり、事業が成長し、軌道に乗ってきたタイミングで新規事業について考えます。

通常、軌道に乗った事業を深堀りしたくなってしまいますが、ここで新しい事業へも挑戦することが大切です。これには、従来の縦社会のリーダーシップよりも、自由度が高く裁量を持って動く環境を実現できる、自由度の高いリーダーシップが求められます。

深化から探索へと移行できる環境作りを意識しましょう。

深化ユニットと探索ユニットに分けて同時進行する

次に、深化と探索それぞれを追求するチームを作り、同時に進行することが大切です。

ここでポイントなのは、深化の方が結果が出やすく、探索が結果を出すには時間がかかることを双方に周知しておくことです。そうしないと、深化チームは自分たちが出した利益を探索チームに浪費されているような気分になり、亀裂が生まれる原因になりかねません。

真逆の性質を持った深化と探索は、どちらかに専念するチームを作るほうが効率的です。どちらも自社の成長には欠かせないものだということを周知し、バランスを取ることに力を注いでください。

個人単位で深化と探索の業務ができる組織体制を作る

最後に、個人単位で深化と探索の業務ができる組織体制作りも欠かせません。

この個人個人が両方の業務を担う方法を実現するためには、上下関係なく意見が言えるフラットな組織体制が必要です。経営者は、そのための文化や組織設計を行わなければなりません。たとえば、Googleの20%ルールのように、社員全員が新規事業開発を意識する取り組みが必要です。

深化と探索を個人レベルで実現する組織作りは多大な不可のかかる作業ですが、変化に対応するためには必須と言えるほど重要なポイントでしょう。

まとめ

本記事では、深化と探索について、意味やそれぞれの違い、メリットや課題・難しさについてお伝えしてきました。

成功のポイントは、バランスです。深化と探求は両立してこそ力を発揮します。特に探求はすぐに結果が出ず断念しがちですが、そこを乗り越え深化と探索を成功させた企業が大きな成功を収めています。

変化を求められる時代に適応できるよう、深化と探索両方に力を入れてみてください。バランス良く取り組み、「どんな時代でも生き残り成長し続ける企業」を実現してください。

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PEAKSMEDIA編集チーム

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