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プラットフォームビジネスとは?4つの種類や特徴を分かりやすく解説

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インターネットの普及によりプラットフォームビジネスへの注目が集まっています。プラットフォームは、供給者と需要者を結びつける場や仕組みを意味します。プラットフォームビジネスでは、プラットフォームの運営者が、供給者と需要者のマッチングや取引を支援します。個人や企業などのプレイヤーが参加することで価値を生み出すビジネスモデルのことです。

当記事では、プラットフォームビジネスの種類や特徴を解説しています。プラットフォームビジネスのリスクについても解説していますので、参考にしてください。

プラットフォームビジネスとは

プラットフォームビジネスとは、商品を売りたい事業者と買いたい消費者がマッチングする場所をプラットフォーマーが提供することで利益を得るビジネスモデルのことです。他社やユーザー、多くのプレイヤーを巻き込むことで価値が生まれます。

プラットフォームビジネスは、1つの土台の中で協業しながら新しいサービスやソリューションなどのバリューを提供することを目的としています。

IT業界におけるプラットフォームビジネスの成功例

プラットフォーマーはさまざまな業界に存在しています。近年では主にIT業界が注目されており、プラットフォームの提供を目的としたプラットフォーム戦略も確立されています。

IT業界で有名なプラットフォーマーはGAFAMです。GAFAMは、プラットフォームビジネスによるイノベーションによって、私たち消費者のライフスタイルを大きく変えました。

IT業界におけるプラットフォームの種類はソフトウェア・オンライン・クロスプラット・コンテンツ型の4つで、後述の一般的なプラットフォームビジネスと呼び名は異なりますが指しているものは同じです。

プラットフォームビジネスが注目される背景

インターネットの普及に伴い、ネットワーク上にプラットフォームが展開されている効果が顕著に現れ始めました。2020年来のコロナ禍において、ビジネルモデルや経営戦略の見直しが多くの企業で求められたこともプラットフォームビジネスが注目された理由となっています。

プラットフォームビジネスに取り組むさまざまな企業同士が提携することで、今後もさらに大きな効果が期待されています。

プラットフォームビジネスの4つの種類

プラットフォームビジネスは、以下の4種類に分けることができます。

     
  • 需要と供給をマッチさせる仲介型プラットフォーム
  • アプリやサービスを提供するOS型プラットフォーム
  • コンテンツを蓄積するコンテンツ型プラットフォーム
  • ツールを提供するソリューション型プラットフォーム

それぞれのプラットフォームについて解説します。

需要と供給をマッチさせる仲介型プラットフォーム

仲介型プラットフォームとは、商品やサービスを「提供したいユーザー」と「利用したいユーザー」をつなぐサービスです。個人間だけでなく、BtoC向けのプラットフォームも存在しており、近年ではBtoBの企業間取引の需要が拡大しています。


仲介型プラットフォームの例は、メルカリ・Uber・AirBnB・クラウドワークス・比較ビズ・発注ナビなどがあります。

アプリやサービスを提供するOS型プラットフォーム

OS型プラットフォームとは、他社のアプリやサービスとしてOSを提供するプラットフォームです。アプリやシステムを動かすための基盤として使えるサービスも含みます。

OSはあくまでプラットフォームとして存在しているので、基本的に他のOS上では動かせません。
OS型プラットフォームの例は、macの「MacOS」Amazonの「AWS」などがあります。

コンテンツを蓄積するコンテンツ型プラットフォーム

コンテンツ型プラットフォームとは、コンテンツや情報が蓄積することでユーザーが集まり、価値が向上するプラットフォームです。コンテンツ型プラットフォームの例は、YouTube・Netflix・SNS・Spotifyなどがあります。

ツールを提供するソリューション型プラットフォーム

ソリューション型プラットフォームとは、特定の機能を持つデジタルツールを提供することで、使用する側のビジネス活動支援につながるプラットフォームです。

ソリューション型プラットフォームの例は、POSレジアプリ・PayPay・酪農IoTなどがあります。

プラットフォームビジネスの特徴

プラットフォームビジネスが持っている4つの特徴は、以下のとおりです。

     
  • さまざまな収益モデルがある
  • 顧客のデータを集めやすい
  • 実店舗がないため初期費用を抑えられる
  • ネットワーク効果でサイトの価値が高まる

それぞれの特徴について解説します。

さまざまな収益モデルがある

プラットフォームビジネスには、さまざまな収益モデルがあります。主に4つの収益モデル(手数料課金・月額課金・従量課金・フリーミアム)があり、自社のプラットフォームに最適なものを選べる特徴があります。

それぞれの特徴は、以下のようになります。

     
  • 手数料課金→販売額の何%かを手数料として徴収する収益モデル(キャンプファイヤー・メルカリなど)
  • 月額課金→毎月一定の料金を支払ってもらう収益モデル(Netflix・Spotifyなど)
  • 従量課金→使った分だけ料金を支払ってもらう収益モデル(Uber・SNS送信など)
  • フリーミアム→サービスの中で無料と有料を分ける収益モデル(スマホゲーム・アプリなど)

顧客のデータを集めやすい

プラットフォームビジネスは、手数料や課金などで収益を得るだけでなく、利用者が増えれば増えるほど顧客のデータを集めることができます。顧客の属性や行動履歴を検証することでマーケティング戦略に活用でき、さらなるサービスの向上に繋げられます。

実店舗がないため初期費用を抑えられる

プラットフォームビジネスは、インターネット上でビジネスを行うため実店舗が必要ありません。そのため、実店舗を準備する初期費用やランニング費用が不要になり、運営費用を抑えられます。

事前準備に費用や手間がかからない分、プロモーションなどに力を入れやすく短期間で集客しやすい特徴があります。

ネットワーク効果でサイトの価値が高まる

プラットフォームビジネスは、製品やサービスの利用者が増えることで、製品やサービスの価値が高まりやすい特徴があります。インターネット上で情報が拡散されれば、情報が一気に広まりやすい点もメリットです。

徐々に利用者が増えることでさらなる改善に資金を回すことができ、さらに需要が増えていく好循環が起こりやすいです。

プラットフォームビジネスのリスク

プラットフォームビジネスのリスクは、以下の3つが挙げられます。

     
  • ユーザー同士のトラブルが起きやすい
  • 後発の参入は難しい
  • 集客コストがかかる

それぞれのリスクについて解説します。

ユーザー同士のトラブルが起きやすい

プラットフォームでは、参加しているユーザー同士でトラブルが起こりやすいリスクがあります。プラットフォーマーはあらかじめトラブルを防ぐ仕組みを考えておく必要があります。

特商法・古物営業法・不当景品類および不当表示防止法などの法律を把握しておかないと、個人の販売者だけでなく、サイト経営者側が責任を問われることもあるため注意が必要です。

後発の参入は難しい

業界80%以上のシェアを取られている状況では、後発のプラットフォーマーが参入するのは簡単ではありません。類似サービスでなく他のサービスと差別化し、独自のものを作り出して求められている層に届けられるかが鍵となるでしょう。

集客コストがかかる

プラットフォームビジネスは、立ち上げ段階で集客に費用をかけないと始まらないが、損益分岐点を越えるまで巨額の集客コストがかかります。初期のサイト構築等には費用があまりかかりませんが、費用が少ない状態で始めるのは危険です。

プラットフォームビジネスでは、ユーザーが集まらないと失敗してしまうため、市場やサービス運びが大切になるでしょう。

プラットフォームビジネスで失敗しないためには

プラットフォームビジネスで失敗しないためには、以下の3点に気を付けます。

     
  • 適切なマーケットとターゲットを選定する
  • キャッシュポイントを見極める
  • 企業やユーザーが自然に増える仕組みを作る

失敗しないポイントについて、それぞれ解説します。

適切なマーケットとターゲットを選定する

同様のサービスを提供しても後発では勝てる見込みがないため、適切な課題を解決するプラットフォームを選ぶことが重要です。競合がいないニッチな分野や、ユーザーの不満を補えるようなサービスを開発しましょう。

プラットフォームビジネスで失敗しないためには、最初の市場の見極めがとても重要です。

キャッシュポイントを見極める

サービスの内容によって適切なキャッシュポイント(利益を得る機会)を見極めなければなりません。プラットフォームにおけるキャッシュポイントは、主に「プラットフォーム利用料」と「商品購入時の手数料」です。

多額の手数料を設定してしまうと搾取問題が生じてしまい、企業の信頼を損なうことにも繋がりかねないので注意が必要です。1つのプラットフォームビジネスで複数のキャッシュポイントを設定することも可能です。

企業やユーザーが自然に増える仕組みを作る

プラットフォームビジネスでは、ユーザーをいかに集められるかが重要になります。利用企業やユーザーが増えやすい仕組み作りや、プラットフォーマーが自ら集客しなくても自然に広がるサービスやマーケティング戦略を考えることが大切です。ユーザーがプラットフォーム自体に価値を感じたり、プラットフォーム自体の価値を常に向上させたりしていけば、自然にユーザーが増えていくでしょう。

プラットフォームビジネスで成功した企業事例

プラットフォームビジネスで成功した企業事例について、以下の3つのパターンで紹介します。

     
  • コミュニケ-ション系
  • キャッシュレス系
  • シェアリング系

それぞれについて解説します。

コミュニケーション系

コミュニケ-ション系のプラットフォームビジネスで成功した企業は「LINE」です。LINEは無料通話サービスからはじまり、ニュース・ゲーム・電子決済・音楽などをユーザーに提供しています。1つのプラットフォームにユーザーが集まり、企業と協力することでユーザーは更に増えサービスが拡充しています。

LINEはインターネットの普及により拡大を続けています。利用料金は基本的に無料で、中にはLINE公式アカウントなどの有料課金で利用できるサービスもあります。

キャッシュレス系

キャッシュレス系プラットフォームとは、現金やクレジットカード、電子マネーといったさまざまな支払い方法を一括管理できるものです。成功した企業事例として「楽天グループ」があります。

楽天グループでは、ネットショッピングとクレジットカード・決済方法を連動させて顧客情報や振込情報、未収情報など決済に関するあらゆる情報の管理を行っています。個々で複数の決済方法を導入するのが難しい中小企業や個人事業主にとっては活用しやすいサービスです。

シェアリング系

シェアリング系のビジネスプラットフォームの成功企業例は「Uber eats」が有名です。お店と個人を繋ぎ、アプリを利用して簡単にデリバリーできるようになっています。基本的には注文時にのみ手数料が加算される仕組みです。

他にも運転者と利用者をつなぐプラットフォームが挙げられます。運転者は隙間時間で稼働でき、自家用車を登録してサービス提供するため専用の車を持つ必要がありません。利用者はアプリ一つで行き先指定から支払いまで完結し、希望時間に配車できる点が便利です。

製造業におけるプラットフォームビジネスのメリット

プラットフォームビジネスは、IT業界以外でも広がっています。プラットフォーム戦略はIT企業だけの戦略ではなく、製造業にとっても非常に効果的です。製造業におけるプラットフォームビジネスのメリットを以下の通り紹介します。

     
  • 集客と利便性が向上する
  • ビジネスの範囲を広げられる
  • 企業やユーザーが自然に増える仕組みを作る

集客と利便性が向上する

プラットフォーム上で複数の製品やサービスを提供することで、顧客の利便性が向上し、顧客の囲い込みができるようになります。プラットフォームに顧客が集まるようになるため、多くのパートナー企業が参入し、集客と利便性の向上の好循環が生まれます。

ビジネスの範囲を広げられる

最先端技術の進展により、製造業では製品の単なる製造や販売では差別化が困難になっています。プラットフォームを活用することで、製造業のビジネス範囲を広げることができるでしょう。

企業やユーザーが自然に増える仕組みを作る

プラットフォームで収集した大量の顧客データの活用により、顧客にメリットのある新たな製品やサービスを継続的に開発することが可能になります。

例えば、プラットフォーム上で顧客とのつながりを構築し、データやフィードバックを収集することで、顧客のニーズや嗜好を把握し、それに基づいた新たなサービスを提供するマーケティング戦略を立案できます。

まとめ

インターネットの普及により、プラットフォームビジネスが広がっています。プラットフォームビジネスにはさまざまな収益モデルがあり、集めた顧客情報から販売戦略を立案できるためより多くのユーザーを集める好循環を生み出せます。

プラットフォームビジネスのメリットを活かして新たなビジネスチャンスを掴みましょう。

PEAKSMEDIA編集チーム

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