
京都フュージョニアリングは2026年8月24日、シリーズDラウンドの1stクローズで総額257億2000万円の資金を確保したと発表した。内訳はエクイティ調達が167億2000万円、デットファイナンスが90億円である。日本、カナダ、米国の3拠点で進める統合実証プロジェクト「UNITY」の開発加速と、プラズマ加熱システム「ジャイロトロン」の量産体制構築に充てる。
3拠点でトリチウム燃料サイクルと増殖ブランケットを実証
同社は、フュージョンエネルギーの発電に不可欠なプラズマ加熱、トリチウム燃料サイクル、トリチウム増殖ブランケット・熱サイクルといった基盤技術を開発する企業である。世界ではトカマク型やステラレーター型、レーザー型など複数の方式で炉の開発が進むが、いずれの方式でも発電を成立させるには炉心プラズマの外側にある基盤技術が欠かせない。同社は特定の方式に依存しない総合技術開発企業として、これらの技術開発を担う。
UNITYプログラムとは、フュージョンエネルギーの発電に必要な燃料と熱の循環を、日本、カナダ、米国の3拠点で分担して実証する統合プロジェクトである。商用化における最大の技術的難関とされるトリチウム燃料サイクルと、トリチウム増殖ブランケット・熱サイクルの統合実証を進めている。京都で開発する発電統合試験プラント「UNITY-1」は建設の大部分が完了し、現在は増殖ブランケットの実証に必要な水素同位体抽出試験に取り組む。2026年秋以降には高温ループからの発電や水素製造などの統合試験を実施する。
カナダ原子力研究所(CNL)との合弁会社Fusion Fuel Cyclesを通じて開発する実規模トリチウム燃料システム「UNITY-2」は、水素などを用いた予備試験を日本国内で進めており、2026年12月末までにカナダ・チョークリバーでトリチウムを用いた運転を開始する計画である。完全に統合された実トリチウム燃料サイクルの実証は世界初となる。米国オークリッジ国立研究所(ORNL)と米エネルギー省(DOE)と連携する「UNITY-3」は、トリチウム増殖ブランケットのモジュール規模中性子照射試験設備で、2028年末の完成を目指す。トリチウム増殖率(TBR)が1を超えるブランケットシステムの実証を計画する。
ジャイロトロン量産化で短期に売上高100億円規模へ

もう一つの投資対象がジャイロトロンの量産体制である。同社は国内の研究機関が培った基盤技術をもとに性能を世界最高水準まで引き上げ、サプライチェーン管理から最終工程のチューニングまでを含めてプロジェクトごとに異なる仕様に対応してきた。世界の主要フュージョンプロジェクトや研究機関から受注を重ね、国際入札の大半を獲得している。今回の資金で量産体制を構築し、拡大する需要への供給体制を整える。発電実証や商用化に先立ってサプライチェーンの構築と産業化を進め、短期で売上高100億円規模を目指す。
今回のラウンドには、脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)や日本政策投資銀行、東日本旅客鉄道(JR東日本)などが新規投資家として参画した。デットファイナンスの融資枠・与信枠は三井住友銀行、京都銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行などが設定した。同社は2019年10月設立で、日本のほか米国、英国、ドイツ、カナダの5カ国に拠点を持ち、累計エクイティ調達額は329億8000万円、受注契約は140億円を超える。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000072520.html
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