
住友ベークライトは2026年5月18日、AIの進展に伴い大型化・複雑化が進む先端半導体パッケージに対応するため、低反り・高信頼性の液状封止材「EME-Lシリーズ」を開発し、2026年4月より供試を開始したと発表した。2027年の認定採用を目指す。
生成AIの普及でGPUなどの半導体に求められる処理能力が急増し、パッケージの大型化・高機能化が加速している。2.xD/3Dパッケージやチップレット構造の採用が広がる中、複数の半導体チップを一つのパッケージに集積する設計が主流となりつつある。この構造では、基板・チップ・接続部の熱膨張率の違いから生じる「反り」の制御が製造歩留まりと信頼性を左右する。大型パッケージほど反りのリスクは高く、液状封止材に求められる低反り性能はかつてなく厳しくなっている。
EME-Lシリーズは、住友ベークライトが固形封止材で築いてきた配合技術・処方技術と電子材料向け液状製品のプロセス技術を応用して開発した。低反り性能を確保しながら、製造ラインでの取り扱いに必要な加工性能も両立する点が特長だ。さらにラインアップには「モールドアンダーフィル」対応品も含む。従来はアンダーフィル(チップと基板の隙間を埋める工程)とオーバーモールド(全体封止)が別工程だったが、この製品は両工程を一体化できるため、製造プロセスの削減と効率化に寄与する。
住友ベークライトは固形封止材で世界トップシェアを持つメーカーだ。固形封止材の強みをベースにしながら、液状封止材への展開で次世代パッケージ全体をカバーする材料ラインアップを構築する方向性がこの発表からうかがえる。パッケージの設計自由度が上がるほど封止材の多様化が求められるため、固形・液状双方で高性能品を提供できるメーカーの優位性は高まる。
封止材の低反り性能は、先端パッケージの製造歩留まりと設備投資効率に直結する選択基準だ。EME-Lシリーズの供試開始は、住友ベークライトが次世代パッケージ市場での材料標準を確立しようとする動きとして位置づけられる。供試から認定採用まで通常1〜2年を要する半導体材料の採用サイクルを踏まえると、2027年認定採用という目標は現実的なスケジュールだ。固形・液状の両封止材で先端パッケージの要求に対応できるメーカーとしての地位確立を、同社は着実に進めている。
半導体パッケージング材料は、日本企業が世界シェアの大きい数少ない分野の一つだ。住友ベークライト・信越化学・レゾナック・ナガセケムテックスなど国内メーカーが封止材・アンダーフィル・ダイボンドの各領域でグローバルな供給を担っている。この競争優位を次世代パッケージ向け液状材料でも維持できるかどうかは、日本の素材産業の競争力を占う上で重要な試金石となる。
関連情報
プレスリリース:https://www.sumibe.co.jp/topics/2026/it-materials/0514_01/index.html
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