
製造業の現場で磨かれたDXメソッドが、今度は物流業界を変えようとしている。大和物流は2026年4月2日より、横河電機の子会社・横河マニュファクチャリングの伴走支援のもと、「物流革新プロジェクト」を本格始動した。製造業で実証済みの「YOKOGAWAメソッド」を軸に、全国の物流拠点で属人化を解消し、一貫した高品質サービスを提供できる体制の構築を目指す。
物流業界が長年抱える課題は、拠点ごとのサービス品質のばらつきだ。荷主ごとの仕様に応じた個別運用が積み重なり、現場の知見が担当者個人に蓄積されやすい。2024年問題を契機にドライバー不足や労働時間規制への対応が急務となるなか、オペレーションの標準化・可視化なしに持続可能な成長は描けない状況にある。
プロジェクトは3段階で進む。フェーズ1では大阪南物流センターをモデル拠点に選定し、属人化していたオペレーションを可視化・標準化する。計測可能なKPIを設定して改善成果を定量評価できる「標準モデル」を構築する。フェーズ2では、標準モデルを全社に広げる「エバンジェリスト(伝道師)」を現場から育成し、各拠点が自律的に変革を継続できる「自走する組織」へと進化させる。
今回のキーワードは「学習する組織」だ。単なる標準化にとどまらず、現場の一人ひとりが自ら考え改善を生み出す組織文化の定着を目指す点が、従来のオペレーション改善プロジェクトと一線を画す。横河マニュファクチャリングが支援役に立った背景には、製造業でのDX推進で蓄積した「仕組みと人材育成を同時に進める」という統合的なアプローチへの評価がある。
製造業のDX推進担当者にとって、この事例が示す示唆は2点だ。第1は「自社のDXメソッドが異業種に価値を発揮できる」という横展開の可能性だ。自社工場で積み上げた標準化・改善文化は、物流・建設・流通など隣接領域で求められる知見でもある。第2は「組織変革は仕組みだけでなく人材育成とセットでなければ定着しない」という原則で、これは製造業内部のDX推進でも変わらない本質的な教訓だ。
大和物流は大和ハウスグループの物流子会社で、建築・建材・電気設備・機械・アパレルなど多岐にわたる品目の総合物流を全国展開する。今期から始動した第8次中期経営計画でも「現場・実行能力の強靭化」を経営基盤強化の柱に掲げており、本プロジェクトはその中核施策に位置づけられる。物流拠点をフィールドにした「製造業×物流」の組織変革実験として、同プロジェクトの展開は業界を超えて注目に値する。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002658.000002296.html
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