
日本精工(NSK)は2026年10月23日、切削時に発生する「びびり振動」を抑えるマシニングセンタ向けの新型スピンドルを開発したと発表した。重切削加工の効率を高める狙いで、工作機械の見本市「JIMTOF2026」に出展し、2027年4月の市場投入を目指す。
減衰性能を高めた軸受でびびり振動を抑制
新型スピンドルは同社の「高速ビルトインモータスピンドルシリーズ 高剛性・高出力タイプ」をもとに開発した。スピンドルはマシニングセンタの工具を高速回転させる主軸で、性能が加工効率や品質を左右する。従来品と同等の出力、最高回転数、静剛性を保ったまま、減衰性能に優れた軸受を搭載して動剛性を高めた。
動剛性とは、加工中に振動する力を受けたときの変形のしにくさを示す指標である。動剛性が高いほどびびり振動が起きにくい。軸受は、振動のエネルギーを吸収して揺れを早く小さくする減衰性能が高いほど、びびり振動の抑制に効く。
採用したのは、工作機械主軸用の軸受「ロバストダイナシリーズ Jタイプ」である。同社が2022年に開発を発表した高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受で、従来スピンドルに搭載していた「ロバストベーシックシリーズ Hタイプ」と比べ、減衰性能は約30%、荷重負荷能力は15%向上し、軸受寿命は最大6倍になる。同社によると、軸受はスピンドルの構成部品のなかで最も大きな負荷を受ける部品である。同社は2022年の開発発表時、Jタイプについて2023年春の生産開始と、2026年に年間20億円の売り上げを目標に掲げていた。

びびり振動を抑えることで、同社は加工時間の短縮による生産性の向上、加工面品質の向上、工具寿命の延長によるコスト低減、加工の信頼性向上を見込む。
マシニングセンタに求められる難削材の高効率加工
マシニングセンタは、工具を自動で交換しながら金属などの材料を削る工作機械である。自動車部品や航空機部品、産業機械部品の製造に広く使われる。製造業では人手不足や生産コストの上昇を背景に、生産性の向上が求められている。航空機や自動車の分野では、燃費向上や環境負荷の低減を目的に、チタン合金など加工の難しい材料の使用が増えている。
こうした材料を高効率に加工するには、一度に多くの材料を削る重切削加工が有効である。ただし重切削ではびびり振動が起きやすく、加工面品質の劣化や工具寿命の低下を招く。スピンドルにはびびり振動を抑え、安定した高効率加工を続ける性能が求められていた。
新型スピンドルは2026年10月26日から31日まで開催される「JIMTOF2026 第33回日本国際工作機械見本市」で展示する。
関連情報
ニュースリリース(日本精工)
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2026/spindle_20261023
日本精工「工作機械主軸用 高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受『ロバストダイナシリーズ Jタイプ』を開発」(2022年10月13日)
https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2022/nsk-develops-j-type-robustdyna-bearings-for-machine-tool-spindles
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