
三井不動産と熊谷組、ゲットワークスの3社は2026年10月6日、兵庫県神戸市の既存トンネルを活用した地中型データセンターの開発に着手すると発表した。三井不動産調べでは、既存トンネル空間を活用し、外部顧客向けにサービスを届ける商用データセンター事業としては日本初となる。初期開発では2027年末のサービス提供開始を予定し、将来的には最大受電容量20MW規模での運用を目指す。
地中型データセンターで冷涼性と物理的安全性を活かす
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を集約して設置・運用する施設である。
着目したのは、これまで十分に活用されてこなかった地中空間だ。対象となるトンネルは、神戸市が2005年9月まで造成用の土砂運搬に使っていたベルトコンベア用の跡地で、神戸の山と海を総延長14.5kmで結ぶ。住宅団地や産業団地の整備、神戸空港の埋め立て事業などを支えてきた施設にあたる。三井不動産と熊谷組は、総延長のうち約3km、面積約1万7000平方mを対象とする貸付の条件付き入札で、2026年9月4日に落札者として決定を受けた。
地中空間の特性は3点ある。第1に冷涼性で、空間の温度が年間を通じて15〜20℃に保たれていることを確認している。第2に高い耐震性、第3に外部からの接近が限定されることによる物理的な安全性だ。既存トンネルの大部分は地下約40mより深い位置にある。
背景には、データセンターを取り巻く環境の変化がある。生成AI技術の普及に伴い、高い計算能力を持つGPUサーバーへの需要が世界的に拡大している。一方、国内では用地や電力の確保、建設コストの高騰、高発熱なGPUサーバーに対応した設備不足を背景に、インフラ整備が課題となっていた。企業や自治体には、重要データの保護や自然災害への対応力強化の観点から、物理的安全性とレジリエンスを備えた施設への需要も生じている。
既存空間を使う利点も挙げる。建設時の環境負荷を抑え、事業化までの期間を短縮できるとしている。海外では地中施設や鉱山跡地、旧軍事施設を活用したデータセンターの整備が進んでおり、物理的セキュリティや災害耐性を強みとして利用が広がっている。

地下水を循環利用する水冷方式を導入
開発の内容も示した。地下深部に位置する既存トンネルへコンテナ型データセンター設備を設置する。生成AI時代に求められる最新のGPUサーバーに対応し、地下水を循環利用する水冷方式を導入する。既存資源を活用することで、環境負荷の低減と高効率な運用の両立を図る。
設備面では、ゲットワークスが展開するシェルター型コンテナデータセンターの技術を使う。同社は耐震性・耐衝撃性・EMP対策を備えた製品化を完了しており、完全国内生産としている。EMPは、核爆発などで生じる強い電磁パルスを指す。
推進体制は、三井不動産と熊谷組が地中空間を活用した事業地の開発を担い、ゲットワークスがコンテナ型データセンターの運営を担当する。パシフィックコンサルタンツが協力事業者として事業化検討の支援と設計支援にあたり、整備工事は熊谷組が担う予定だ。
本事業は、三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」から生まれた。2018年度に創設された制度で、提案者自らが事業責任者となって事業を推進することを原則とする。
3社は神戸での取り組みを起点に、全国各地のトンネルや鉱山跡地などの遊休地中空間を活用した地中型データセンターの複数拠点展開を目指すとしている。
関連情報
プレスリリース(三井不動産):https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2026/1006
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