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タイガー魔法瓶、真空断熱の細胞輸送容器を開発 20℃を24時間維持

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新開発した医療検体輸送容器「真空断熱セルポッド」。(出典:タイガー魔法瓶)

タイガー魔法瓶は2026年8月20日、Gaudi Clinicalと共同で、ステンレス真空断熱技術を用いた小型の医療検体輸送容器「真空断熱セルポッド」を開発したと発表した。再生医療の細胞輸送を対象とし、2026年4月から実証実験としてテスト運用を進めている。成果をもとに製品改良を重ね、2027年の実用化を目指す。

真空断熱技術を再生医療の細胞輸送へ

真空断熱とは、二重構造の容器で内壁と外壁の間を真空にし、熱の伝導と対流を遮る技術である。タイガー魔法瓶は1923年にガラス製魔法瓶の製造で創業し、真空断熱技術と熱コントロール技術を家庭用・業務用の容器や調理家電のほか、輸送、建築、宇宙、医療分野の産業用部品へ応用してきた。今回は、祖業の技術を再生医療分野へ展開する取り組みとなる。

従来の細胞輸送では断熱輸送箱を用いることが多く、移動手段が限られていた。公共交通機関での持ち運びや医療機関内での運用に負荷が生じる場合もあった。複数の検体を1つの容器で扱う混載時には、特定の検体を出し入れする際の不確実性やリスクも懸念されていた。運用面の柔軟性と確実性の両立が課題となっていた。

20℃帯を24時間維持、温度データはリアルタイムで可視化

輸送中の温度データはスマートフォンでリアルタイムに確認できる。(出典:タイガー魔法瓶)

本製品の特長は3点ある。第1に、小型・軽量化による輸送手段の柔軟化だ。個別の検体ごとに扱えるため、専用車両での輸送に依存せず、公共交通機関やハンドキャリーを活用できる。実証では、渋滞リスクの回避による定時性の向上と運用の効率化を確認した。

第2に、温度管理と品質保証体制の高度化だ。輸送時は一定温度を保つために潜熱蓄熱材を使う。潜熱蓄熱材は、物質が固体から液体へ変化する際に熱を吸収する性質を利用した材料だ。小型でありながら、内容物の温度を20℃帯で24時間、5℃帯で11.5時間維持した。フタの内部には太平洋工業製の温度ロガーを内蔵し、Bluetooth通信でスマートフォンと連携して輸送中の温度データをリアルタイムに取得する。規定温度から外れた場合はアラートを発する仕組みで、データはクラウドに集約し、本部で一括管理する。

第3に、実運用の3つのフェーズごとの最適化だ。医療機関での採取フェーズでは、極小スペースでの保管と、検体の封入・取り出しにおける確実性と安全性を確認した。アンケート調査により、スタッフの作業負担の軽減も検証している。細胞加工施設での用時調製フェーズでは、専用車両に依存しないハンドキャリーや公共交通機関を利用した配送モデルを試し、細胞製造と配送の定時性確保と時間短縮の効果を検証した。医療機関への納品フェーズでは、1名の配送者がバックパックなどで複数個を携行し、複数箇所へ一度に納品する運用が成り立つかどうかと、最適ルートを検証した。

実証実験では、従来の輸送方法で課題となり得る温度管理、持ち運びやすさ、取り扱い負荷について、実運用環境下で有効性を検証した。その結果、定時性の向上と作業負担の軽減、細胞の取り違えリスクの低減につながる可能性を確認した。

共同開発したGaudi Clinicalは、再生医療の提供プラットフォームの構築を進める企業だ。分散型細胞製造・調製室「KIOSK」や治療データ管理システム「NEWTon」を核とした仕組みを展開している。温度ロガーを提供した太平洋工業は、タイヤ空気圧監視システムで培ったセンシング・無線通信技術を持つ。

タイガー魔法瓶は、温度管理が求められるさまざまな領域で新たな価値創出に取り組むとしている。


関連情報

プレスリリース(タイガー魔法瓶):https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/newsroom/press-release/pr_260820_1

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この記事の編集者

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