
エネコートテクノロジーズは2026年7月2日、超小型人工衛星「OrigamiSat-2」に搭載したフィルム型ペロブスカイト太陽電池が、宇宙空間での発電に成功したと発表した。東京科学大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で軌道上実証実験を進め、2026年6月6日に発電性能を示すIV特性(電流-電圧特性)の計測に成功した。
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ぶ結晶構造の材料を光を吸収する層に使う次世代の太陽電池だ。日本発の技術として実用化への期待を集めており、フィルム型は薄くて軽く、曲面にも貼れる特徴を持つ。エネコートは、京都大学化学研究所の若宮淳志研究室の研究成果を実用化するために設立された京大発スタートアップで、2022年からJAXA宇宙探査イノベーションハブと共同研究を進め、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の宇宙応用を研究してきた。今回の実証は、その研究成果を活用したものになる。
OrigamiSat-2は、折り紙のように展開する膜の構造を実証する衛星で、正式名称を「折り紙リフレクトアレーアンテナ実証衛星」という。JAXAの革新的衛星技術実証4号機の実証テーマの一つに選ばれた。2026年4月23日に、ニュージーランドからRocket LabのロケットElectronで打ち上げられた。初期運用を経て、5月23日には膜を展開する実験に成功し、その後、メインミッションである展開アンテナによる通信実験にも成功して、フルサクセスを達成した。
さらに2026年6月6日には、衛星の展開膜上に搭載したフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験で、発電性能を示すIV特性の計測に成功した。IV特性は、太陽電池に光を当てたときに得られる電流と電圧の関係を示す特性で、太陽電池がどれだけの電力を生み出せるかを評価する基本的な指標だ。宇宙空間で電流と電圧を計測できたことにより、フィルム型ペロブスカイト太陽電池が軌道上で発電することを確認した。
宇宙用の太陽電池には、これまで主に結晶シリコンや化合物半導体を使ったものが用いられてきた。フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟なため、衛星の展開膜のような曲面や大面積の構造への搭載が想定される。一方、宇宙空間は、強い放射線や大きな温度変化にさらされる過酷な環境で、地上とは異なる条件下での性能や耐久性の評価が求められる。
エネコートは今後、軌道上に特有の太陽光の入射角や温度変化による影響を加味・補正しながら、過酷な宇宙環境におけるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の劣化特性や性能の評価を進めるとしている。同社は、屋内向けの太陽電池によるIoT化の促進と、屋外向けの軽量薄膜太陽電池による持続可能なエネルギー社会の実現に取り組んでいる。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000155707.html
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