
NEDOと産業技術総合研究所(産総研)は2026年5月19日、レーザー顕微鏡と粒子画像流速測定法(PIV法)を組み合わせることで、大気圧・空気中という実際の乾燥環境下でセラミックススラリー中のサブミクロン粒子の挙動をリアルタイム観察・定量化する技術を開発したと発表した。
従来のスラリー乾燥評価は重量変化や成形体全体の収縮測定が中心で、粒子挙動を直接観察しようとすると真空環境や電子線照射下という非現実的な条件が必要だった。今回の技術は、レーザー顕微鏡でスラリーをオペランド観察(実際に動いている状態のままその場で観察)し、動画に対してPIV法(流体中の粒子の動きから速度・方向を数値化する方法)を適用することで、実際の製造環境に近い条件での粒子移動速度・方向・厚み変位を定量化できる。アルミナやシリカなど汎用セラミックススラリーへの適用を確認した。
相対湿度を変えた3条件での比較実験では、湿度が低いほど粒子の移動速度が増大し、膜厚の収縮がより早く進行することを定量的に示した。乾燥速度と粒子分布の関係がデータとして可視化されれば、セラミックスの品質ばらつきの原因を「見える化」し、最適な乾燥条件をデータ主導で設計することが可能になる。
本成果は「次世代ファインセラミックス製造プロセスの基盤構築・応用開発」事業(2022〜2026年度)の一環で、Journal of the Ceramic Society of Japanに掲載された。今後はこの可視化技術をスラリー乾燥工程の「プロセス・インフォマティクス(PI)」へと応用し、様々な組成・粘度のスラリーでの検証を進める方針だ。
「経験と勘」から「データと計算」へ——ファインセラミックス製造のデジタル化は、半導体パッケージ・電気自動車部品・センサーなど需要が拡大する高機能セラミックスの品質安定化と生産効率向上に直結する取り組みとして、素材・部品メーカーの注目を集める方向性だ。
さらに本技術は、ファインセラミックスにとどまらず、電池電極スラリーや機能性フィルム成形など乾燥工程が品質に影響する幅広い材料製造への応用展開も期待される。
関連情報
プレスリリース:https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101932.html
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