
「フィジカルAI」——AIが現実世界に存在するロボットや設備を動かし、人や環境と相互作用しながら自律的に業務を遂行する技術——が製造・物流・インフラ分野の次なる変革軸として急浮上している。富士通とカーネギーメロン大学(CMU)は2026年4月28日、フィジカルAI分野における共同研究拠点「Fujitsu-Carnegie Mellon Physical AI Research Center」を設立したと発表した。
本研究センターは、AI・コンピューティング・ネットワークを一体提供できる富士通の強みと、ロボティクス・機械学習・言語技術・人間とコンピュータのインタラクションなど多様な専門分野を持つCMU教授陣13名の知見を組み合わせる。研究の中心テーマは行動生成・学習、空間認識・環境理解、複数ロボットの協調制御・最適化、人とロボットの協調、シミュレーションと実世界の統合の5領域だ。CMUがペンシルベニア州ピッツバーグに設置した延床面積約14,000㎡の「Robotics Innovation Center」を実験・実証拠点として活用する。
富士通は本研究センターの成果を「Fujitsu Kozuchi Physical OS」と呼ぶプラットフォームに順次組み込む計画だ。このプラットフォームはロボット・センサー・システム・空間を統合し、業務指示に従って複数のロボットやシステムを協調させることを目指す。2026年度から技術の順次組み込みを始め、実環境での検証と社会実装を加速する。
製造・物流・インフラ現場では、労働力不足・品質安定・安全確保という三重の課題が重なっており、人とロボットが協働できるフィジカルAI基盤へのニーズは切実だ。一方、その実現には単一技術では対応できない学際的な知識統合が必要で、産学連携が加速している背景がある。富士通×CMUという組み合わせは、日本企業が世界最高峰の研究機関との本格連携でフィジカルAIの開発競争に参入した先行事例として注目される。製造業のDX・新規事業担当者にとって、フィジカルAIの技術ロードマップと産業実装のタイムラインを把握する参照点となる。
フィジカルAIが実用に耐えるには「シミュレーションで動くAIを現実世界でも動かす」というシム・トゥ・リアルの壁を越えることが最大の課題だ。本研究センターがCMUのRobotics Innovation Centerという実環境検証施設を活用することは、この壁を直接攻略するアプローチといえる。富士通が2025年12月に「Fujitsu Kozuchi Physical AI 1.0」を発表した翌年に本研究センターを設立した流れからも、社会実装への本気度が伝わる。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000558.000093942.html
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