
空飛ぶクルマの商用化に向けて、制度面での重要な一歩が踏み出された。愛知県豊田市を拠点とする空飛ぶクルマ(eVTOL)開発スタートアップのSkyDriveは、2026年4月15日付で国土交通省航空局(JCAB)より「航空機設計検査認定事業場(ADO:Approved Design Organization)」の認定を取得したと4月20日に発表した。空飛ぶクルマの開発企業として国内初の取得だ。
ADOとは、航空機の設計および設計後の検査を適正に遂行できる体制を有する組織に与えられる国の認定制度だ。認定を受けた事業場は国による検査の一部を自ら実施できるようになり、開発プロセスの合理化が図られる。欧州航空安全庁(EASA)の設計組織承認(DOA)や米国連邦航空局(FAA)の組織指定認可(ODA)に相当する位置づけで、取得済み企業は2026年4月時点で国内わずか6社のみと難易度が高い。
SkyDriveが現在進めているのは、機体の安全性を公的に証明する「型式証明(TC)」の取得だ。型式証明を取得できなければ商業運航の許可は得られず、2028年のサービス開始には型式証明が前提となる。今回のADO取得により、自社内で設計の妥当性を検証・保証する権限が認められ、型式証明取得に向けた審査プロセスが最適化されるとともに、設計変更や試験データの適合性証明をより迅速に進められるようになる。
SkyDriveは2018年設立で、2020年に国内初の公開有人飛行試験に成功し、2025年の大阪・関西万博でデモフライトを実施した。機体の製造はスズキグループの静岡県磐田市工場で行っており、国内主要拠点で一気通貫の開発・製造体制を構築している。
製造業のDX・新規事業担当者にとって、SkyDriveの事例が示すのは「深い規制産業への参入」の現実的なプロセスだ。型式証明に代表される航空規制は最も厳格な安全規制の1つであり、ADO取得はその通過点として外部からわかりやすい進捗指標となる。新規モビリティ市場に関心を持つ製造業にとって、規制対応・認証取得を事業化の起点に置く戦略の参考事例として読むことができる。
なお、SkyDriveには外国籍のCTO(Arnaud Coville)と耐空・型式証明室長(Harald Nagler)が在籍しており、グローバル基準の安全管理体制を国内で構築している点が今回の認定につながった。製造業が新規事業として高規制領域に踏み込む際の人材戦略としても参考になる。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000214.000038857.html
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