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業務用エアコン圧縮機からレアアース磁石を回収・再資源化する国内初の循環スキーム構築へ ダイキン・信越化学・日立・東京エコリサイクルが協創を開始

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本協創の全体像。ダイキン・東京エコリサイクル・日立・信越化学の4社が役割を分担する循環スキーム。

レアアース磁石は省エネモーターに不可欠な素材だが、その大部分を中国が供給するという供給リスクが製造業のサプライチェーンに影を落としてきた。この課題を素材の循環利用で解決しようとする業界横断の取り組みが動き出した。ダイキン工業、信越化学工業、日立製作所、東京エコリサイクルの4社は2026年4月14日、業務用エアコンの圧縮機からレアアース磁石を回収・再資源化する、国内初の循環スキーム構築に向けた協創を開始したと発表した。

業務用エアコンの圧縮機には、省エネ性能を支えるネオジム焼結磁石(NdFeB)などのレアアース磁石が使われている。修理・オーバーホールで交換された使用済み圧縮機は、これまで適切な資源化の仕組みがなかった。家庭用機器は2001年施行の家電リサイクル法で回収・リサイクルの枠組みが整っているが、業務用機器にはそうした制度が存在しないためだ。

本スキームでは4社がそれぞれの強みを持ち寄る。ダイキンが使用済み業務用エアコン圧縮機を回収し、東京エコリサイクルが圧縮機の分解・脱磁・磁石取り出しを担う。この工程にはAI画像認識技術とロボットを連動させ、型式ごとに異なる分解プロセスを効率化する。脱磁には直接的なCO₂排出を発生させない共振減衰脱磁技術(磁石に交流磁界を与えて磁化の共振現象を利用し振幅を徐々に減衰させる方法)を採用する。取り出したレアアース磁石は信越化学が再生素材として新たに磁石を製造する。日立は回収・分解・品質評価のプロセス全体をデータ管理する一貫システムを担い、トレーサビリティと最適化を実現する。

4社は2026年中に自動化装置の開発を進め、2027年から本格稼働を予定している。将来的には賛同企業・団体のパートナーを拡大し、エアコン業界にとどまらず製造業全体のGX(グリーントランスフォーメーション)貢献を目指す。レアアース磁石はEV・産業用ロボット・風力発電など多くの製造業分野に不可欠な素材だけに、国内循環スキームの確立は経済安全保障の観点からも重要な意味を持つ。

製造業のDX担当にとっても、このスキームが示す「AIとロボットによる分解工程の自動化」「一貫データ管理によるトレーサビリティ」という設計思想は、自社の廃棄・回収フローの高度化を考えるうえでの参照モデルになる。業界横断で実装できるサーキュラーエコノミーの構造として、今後の他産業への波及が期待される。

信越化学は1926年創業で今年100周年を迎える化学素材の大手企業で、レアアース磁石事業を1960年代から展開してきた。今回の協創で取り出したレアアース磁石を受け取り、新たな磁石原料として循環させる役割を担う。圧縮機メーカー・リサイクル企業・AI/ロボット技術・磁石素材の4者が揃った体制は、バリューチェーン全体を覆う厚みを持つ。


関連情報

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000141666.html

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