
NEDOは2026年9月30日、機能性化学品の開発期間を従来の約5分の1に短縮できる化学合成プログラム「AMATERUS AI」を開発したと発表した。NEDOのプロジェクトにおいて、山口大学発ベンチャーのTSテクノロジーと奈良先端科学技術大学院大学が取り組んだ成果となる。AIを活用した化学合成経路設計と、量子化学計算による反応評価を融合した。TSテクノロジーは同日から、本プログラムを活用したサービスの提供を始める。
機能性化学品の合成経路探索をAIで高速化
機能性化学品とは、医薬品や農薬、香料、電子材料など、特定の機能を持たせた化学品を指す。多品種少量生産で高い付加価値を持ち、製品化までの期間短縮や安定した製造プロセスの確立が企業競争力の源泉となっている。
課題は経路設計にある。目的の化合物をどの原料から、どのような反応・条件で合成するかという設計は、文献調査や研究者の経験、個別の計算・検索ツール、実験による試行錯誤に依存してきた。候補となる合成経路が膨大なため、最適な経路の探索に多くの時間と人的資源を要することが課題となっていた。
本プログラムは、AIと量子化学計算技術を融合させた4種類の手法で構成する。知識化・データベース化AI、合成ルート探索AI、反応予測・検証AI、プロセス概念設計AIだ。これらが提案する膨大な化学合成経路案の中から、目的に応じた最適な経路案を瞬時に選別・評価する。量子化学計算は、電子の振る舞いを量子力学に基づいて計算し、分子の性質や反応の起こりやすさを予測する手法を指す。

医薬品の合成検討で工数を64週・人から12週・人へ
短縮効果は実証で確かめた。本プログラムが提案した合成経路を用いて医薬品を製造した結果、開発期間を従来の約5分の1まで削減できることを確認した。
この約5分の1という値は、医薬品の合成検討を対象とした評価によるものだ。本プログラムの活用により、作業工数を64[週・人]から12[週・人]へ削減できることを確認した。
本成果が生まれたのは、NEDOの「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」プロジェクトだ。事業期間は2019年度から2025年度までで、触媒・反応技術開発、分離・精製技術開発、計算化学の適用という3つの研究テーマで構成した。TSテクノロジーと再委託先の奈良先端大は、2022年度から2025年度にかけて、化学合成経路の探索、合成経路候補の検証、化学合成反応のシミュレーション評価の高速化・高度化に取り組んだ。
TSテクノロジーは2026年9月30日、本プログラムを活用したサービスの提供を始めた。機能性化学品の開発期間の短縮、生産コストの低減、新たな合成ルートの創出につなげる考えだ。
NEDOは、本プロジェクトの成果全体の社会実装を進めることで、化学プロセスの効率化や省エネルギーを推進し、2050年カーボンニュートラルに貢献するとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000310.000135644.html
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