
東京大学発のフィジカルAI企業Highlandersは2026年9月7日、国産の4足歩行ロボット「HLQ EDGE」を開発し、発表した。最大60kgの可搬重量と最大330Nmの関節トルク、連続3時間の駆動性能を備える。背面には拡張用マウントレールを搭載し、同社が国内で開発したロボットアームを装着できる。重量物搬送や巡回点検、遠隔作業といった産業現場での運用を前提に設計した。
4足歩行ロボットに60kgの可搬力と拡張レール
4足歩行ロボットとは、4本の脚で歩行し、車輪では進みにくい段差や不整地を移動できるロボットである。
現場で使う道具にするには、歩行性能だけでは足りないと同社はみる。センサーや工具を積んだ状態で動ける可搬力、用途に応じて機器を付け替えられる拡張性、機体内で認識・判断を担う計算基盤、長時間運用を支える電源と通信が必要になる。HLQ EDGEは、これらを一つの機体に統合した。
機体は全身12自由度の関節を持ち、最大330Nmのトルクで駆動する。最大60kgの機材を搭載でき、歩行姿勢の全高は250から500mmの範囲で変えられる。搭載物を安定して運びながら、段差や不整地に対応する構成だ。背面の拡張用マウントレールには、オプションとして同社が国内で開発したロボットアームを装着できる。通信インターフェースも備え、用途に応じたセンサーや機器を統合できる。

ワールドモデルを使った歩行AIで溝地形を走破
歩行制御には、ワールドモデルを活用した独自のAIを採用した。ワールドモデルは、現実世界の状態変化を学習し、次に起こることを予測するAIモデルを指す。機体の状態と周辺地形から変化を予測しながら、脚の接地位置と全身の姿勢を連続的に調整する。あらかじめ決めた動作を再生するのではなく、足場の高さや間隔、形状が変わるたびに動きを組み替える方式だ。
同社が難所として挙げるのが、台と台の間に空隙がある溝状の地形だ。脚を高く上げるだけでは走破できず、着地できる領域を捉え、空隙を跳び越え、着地後の姿勢まで安定させる一連の制御が要る。同社は、公開した実機映像でこの動作を示した。映像には、ロボットアームを搭載した状態での歩行、階段の昇降、通常歩行時の胴体高を上回る段差の乗り越え、雑草が生い茂る屋外不整地の走行、人を載せた状態での姿勢保持も収録している。
認識と演算、通信は機体内に統合した。搭載したデプスカメラで周囲の地形を捉え、NVIDIA Jetson Orin NXで機体内処理を担う。48Vのバッテリーシステムで連続3時間の駆動に対応し、Wi-Fi 6と5Gによる遠隔運用もできる。拡張インターフェースとして6chのCANやUSB、有線LANを備える。
同社は、機体設計、歩行AI、ロボットアームの開発と量産を国内で実施する。導入先ごとの装備変更やソフトウェア更新、保守・改修の窓口を国内に置く体制とした。
Highlandersは2023年5月設立で、東京都豊島区に本社を、埼玉県所沢市に開発拠点の東所沢工場を置く。ヒューマノイドや4足歩行ロボット、フィジカルAIの独自開発を手掛けている。同社は今後、重量物搬送や巡回点検、遠隔作業の現場導入に向けて量産と実証を進めるとともに、マウントレールに対応するロボットアームやセンサー、通信機器のオプションを拡充する。現場で得たデータを歩行AIと機体設計へ反映していくとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000156831.html
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