NGK(旧日本ガイシ)と京都フュージョニアリングは2026年7月16日、フュージョン(核融合)プラントの実証設備で使う溶融塩「FLiBe(フライブ)」と、その循環システムの共同開発・事業化に向けた戦略的覚書を締結したと発表した。NGKが長年培ってきたベリリウムの取扱い・精製の知見と、京都フュージョニアリングのプラント設計技術を組み合わせ、フュージョンエネルギーの実用化に向けた技術開発を進める。
FLiBeは、フッ化リチウムとフッ化ベリリウムからなる溶融塩だ。核融合炉では、炉心で発生した熱を取り出す冷却材と、燃料であるトリチウムを増やす増殖材の役割を担う。トリチウムは水素の同位体で、核融合の燃料となる。核融合炉を成立させるには、炉心の技術だけでなく、熱を取り出す仕組みや、トリチウムを増やして回収する仕組み、周辺の循環システムなどの技術確立が欠かせない。FLiBeはこれらのシステムを支える材料だが、ベリリウムなど取扱いが難しい原材料を含むため、品質管理や循環システムへの適応に関する技術確立が課題となっていた。
NGKは、1958年に日本で初めてベリリウム銅の工業化に成功して以来、ベリリウムを扱う材料の製造・供給を担い、安全な取扱いや品質管理、精製・分析の知見を蓄積してきた。一方の京都フュージョニアリングは、2019年設立のフュージョンエネルギープラントエンジニアリング企業で、プラズマ加熱システムやプラント全体のシステム設計、トリチウム増殖・回収システムの開発などで知見を持つ。英国、米国、ドイツなどにグループ拠点を展開し、各国の研究機関や企業と連携している。
連携における役割分担は2つに分かれる。第1に、FLiBeの取扱い・製造・品質に関する基盤技術の高度化だ。NGKが、ベリリウムの取扱い・精製の知見を活かし、FLiBeの製造や純化・精製、分析・評価などの材料・プロセス技術の開発を担う。第2に、フュージョンプラントへの適用を見据えたFLiBe関連システムの評価・技術開発だ。京都フュージョニアリングが、プラント設計の知見を活かし、FLiBe循環システムの設計検討や循環試験、熱輸送や装置寿命の評価などを担う。
両社は、材料の製造・精製から、循環システムの実機適用、顧客ニーズに基づく仕様検討までを一体的に進める。国内外の顧客ニーズを踏まえ、将来的な事業化と供給体制の構築を目指す。
NGKは、独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献することをビジョンに掲げ、2026年4月に社名を日本ガイシからNGKへ変更した。同社の大津武嗣執行役員は、ベリリウム取扱いの安全管理・技術知見やFLiBe関連技術を活かし、核融合エネルギーの実用化を支える技術価値の創出に挑む取り組みだとコメントした。京都フュージョニアリングの世古圭代表取締役社長COOは、増殖・冷却・トリチウム回収という複数の機能を担うFLiBeの技術について、NGKのベリリウム取扱いの知見と自社のブランケット技術・システム統合の知見を組み合わせることで、産業基盤の構築を加速するとした。両社は、核融合エネルギーの社会実装に必要な材料・プロセス・システムの基盤構築に取り組むとしている。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000072520.html
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