
栗田工業は2026年6月15日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が国際宇宙ステーション(ISS)で実施した軌道上実証を完了して地球へ帰還した「水再生技術実証システム」について、分解調査と解析を完了し、その結果をJAXAへ報告したと発表した。微小重力下での運転に伴う劣化や特性の変化などを確認することが目的だ。
本実証は、2011年にJAXAと栗田工業が将来型水再生システムの検討に関する共同研究契約を締結してスタートした。その後、同社は宇宙機内で発生する水分(尿)を回収して飲用可能なレベルの水質に再生処理するシステムの開発を受注し、2019年にJAXAへ納品した。同年にISS「きぼう」日本実験棟に向けて打ち上げられ、2023年までの約4年間にわたり、栗田工業の地上からの技術支援のもとでJAXAによる軌道上実証が行われた。本装置は想定どおりの性能を発揮し、微小重力環境下における水処理特性について多くの知見を得た。
本装置は、実証終了後の装置内部の変化を今後の宇宙開発に活用するというJAXAおよび同社の意向を踏まえ、2025年5月に地上へ帰還し回収された。総重量は100kgを超え、JAXAの大型装置として初めて地上に帰還したものとなる。回収後は、クリタグループの研究開発拠点「Kurita Innovation Hub」(KIH、東京都昭島市)で、同社の開発担当者による分解調査が行われた。
分解調査の結果、微小重力環境ではシステム内部で水や気泡が地上とは異なる独特の挙動を示していたことが分かった。また、当初の想定を上回る4年超の長期間の軌道上運用による部品の劣化や周辺機器への影響など、設計と運用の両面から検討すべき課題が明らかになった。栗田工業は、今回の実証で得られた知見を、宇宙における水回収・再生に関わる技術開発などへ活かすとしている。
宇宙空間における水の確保は、人類の活動領域を地球周回軌道から月・火星へと広げるうえで重要な技術課題だ。地上から水を運ぶコストは大きく、限られた水を回収・再生して繰り返し使う循環システムが、長期滞在や深宇宙探査の前提となる。栗田工業が手掛けた尿を飲用水レベルに再生するシステムは、こうした宇宙での水インフラを構成する技術の一つだ。
栗田工業は、宇宙開発に携わる官民学と協業し、宇宙分野における水の回収・精製技術の開発や持続的な宇宙での水インフラの構築に取り組む方針だ。あわせて、宇宙分野の研究開発で得られる知見を地球上の社会や産業の課題解決に活用できるソリューションの創出にもつなげるとしている。
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プレスリリース :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000132866.html
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