
Orbray(オーブレー)とエレメントシックスは2026年6月16日、直径3インチの単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立したと発表した。世界最大級の成果だ。あわせて、既存の半導体製造ラインで求められる4インチ結晶の開発に着手したことと、直径2インチの単結晶ダイヤモンドウェハがエレメントシックスの米国オレゴン州グレシャム工場で量産準備の最終段階に入ったことを明らかにした。
単結晶ダイヤモンドは、熱伝導、絶縁破壊電圧、キャリア移動度、耐放射線性などに優れ、次世代の半導体材料として世界的に期待されている。シリコンよりバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体の一種で、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と並び、高電圧・高温・高周波特性に優れる。半導体を巡る国際競争が激化する中、こうした次世代材料のウェハ量産技術が実用化の鍵を握っている。
Orbrayは2021年9月、独自のステップフロー成長法を用いて直径2インチの単結晶ダイヤモンドウェハ「KENZAN Diamond」を開発したと発表していた。ステップフロー成長は、基板面を結晶面方位から数度傾斜させて表面に原子ステップを等間隔に生じさせ、ダイヤモンド結晶をステップの横方向への流れに沿って成長させる手法だ。これにより膜の応力が緩和され、高品質かつ大口径のウェハ作製が可能になる。2024年6月には、大口径ウェハの製造技術を持つOrbrayと、高品質ウェハの量産技術・設備を持つエレメントシックスが知的財産をクロスライセンスし、戦略的提携を結んでいた。今回の発表は、この共同開発の最初の成果となる。
成果は3点ある。第1に、ステップフロー成長技術をさらに発展させ、世界最大級となる直径3インチ(76.2mm)の単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立した。大口径化により1枚のウェハから取得できるチップ数の増加が見込まれ、ダイヤモンド半導体デバイスの量産コスト低減に寄与する。現在は研磨技術の開発を進め、製品化に向けた準備を進めている。
第2に、直径4インチ(100mm)の単結晶ダイヤモンド結晶の開発に着手した。4インチ化が実現すれば既存の半導体製造ラインへの適用が可能となり、ダイヤモンド半導体デバイスの社会実装の加速が見込まれる。
第3に、直径2インチ(50.8mm)の単結晶ダイヤモンドウェハが、エレメントシックスの米国グレシャム工場で量産準備の最終段階に入った。デバイスメーカーや研究機関による試作・評価、熱対策用途への供給に向けて製品化を進めている。
Orbrayは、宝石の加工技術をコア技術とし、精密宝石部品や光通信部品、小型DCモーター、医療機器などを製造販売してきた企業だ。旧社名はアダマンド並木精密宝石。エレメントシックスとの共同開発を継続しながら、単結晶ダイヤモンドウェハの大口径化・高品質化・低コスト化を同時に進め、ダイヤモンド半導体の実用化に貢献するとしている。
関連情報
プレスリリース:https://orbray.com/magazine/archives/12268
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