
株式会社原石は2026年6月9日、電子コンパス事業で世界シェアNo.1を築き「Mr.電子コンパス」として知られる山下昌哉氏が顧問に就任したと発表した。あわせて、起業家・南場智子氏率いるデライト・ベンチャーズからプレシードラウンドでの資金調達を実施し、大企業の研究開発(R&D)部門の技術シーズ活用に特化した生成AI SaaS「GEN-SEKI Lab」を2026年6月29日に正式版リリースすると発表した。
原石が解決を目指すのは、大手製造業における「技術シーズの埋没」という課題だ。日本の大手製造業は世界有数の研究開発投資を誇る一方、内閣府の資料によると事業化されない技術の63%が社内に埋没しているとされる。優れた技術や知見が社内に散在し、掛け合わせれば価値を生むはずの技術同士、あるいは技術と市場ニーズが部門の壁に阻まれて出会えない。次に何を研究し、どの課題をどう解き、どこへ活かすかは、一部のベテランの勘と記憶に頼っているのが実態だという。
顧問に就任した山下氏は、1982年に旭化成工業(現・旭化成)に入社し、MRIやリチウムイオン電池の技術開発から事業拡大までを経験。2000年に電子コンパス事業を起案し、2008年にAndroid、2009年にiOSのスマートフォンへ製品が標準搭載され、数百億円規模の事業へ成長させた。2012年に全国発明表彰恩賜発明賞、2015年に春の紫綬褒章を受章している。山下氏が築いた3軸電子コンパスは、社内や自身のキャリアに散らばっていた技術の「ピース」を一つの目的のもとで掛け合わせた成果だった。原石はこの「埋もれた技術を組織の資産に変える」思考プロセスを、GEN-SEKI Labで実現しようとしている。
GEN-SEKI Labは、大企業のR&D部門の研究者・新規事業担当者・知財/技術企画担当者に向けて、社内に眠る技術シーズを生成AIで掘り起こし、想定外のピースと掛け合わせる生成AI SaaSだ。汎用的な生成AIが個人のプロンプトで使う「個人戦」の道具にとどまり、出力が属人化しやすいという課題に対し、技術シーズと大企業R&Dに特化して社内の技術を構造化・蓄積する。プロンプト設計を必要とせず、選択式の操作で検討・議論の土台となるアウトプットを生み出すことで、組織の共通言語を形成することを狙う。
資金調達はJ-KISS型新株予約権によるもので、調達資金はプロダクト開発とエンタープライズセールス体制の強化に充てる。現在、化学・電機・自動車部品・電力・食品など日本有数の大手企業で有償トライアルを実施している。
原石は2025年10月設立で、「技術の可能性を解放し、”原石”を世界に実装する」をミッションに掲げる。GEN-SEKI Labの開発・提供を事業内容とし、2026年6月29日の正式版リリースに向けてデモの案内と先行トライアルを実施している。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000182152.html
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