
出光興産と森空バイオリファイナリーは2026年5月27日、国産木材由来のバイオエタノールを起点とした純国産ATJ-SAF(持続可能な航空燃料)のサプライチェーン構築に向けて覚書を締結したと発表した。森空BRが計画する国産バイオエタノールと、出光興産が実証検討を進めるATJ技術をつなぎ、原料開発からSAF利用までを国内で完結させる構想だ。
ATJ(Alcohol to Jet)は、エタノールなどのアルコールを原料としてSAFを製造する技術で、SAFの国際規格「ASTM D7566 Annex5」として認証されている。森空BRが製造を目指すのは、木質バイオマス由来の第二世代バイオエタノール(E2G)だ。第二世代バイオエタノールは、砂糖やでんぷんなど食料の可食部を使う第一世代と異なり、食料と競合しない非可食バイオマスを原料とする。木材を起点とすることで、食料との競合を避けながら国産原料でSAFを製造できる点が特長となる。
航空業界の脱炭素では、SAFの社会実装が有効な手段として期待されている。世界的にはHEFA(植物油などを水素化処理する方式)によるSAF製造が先行しているが、原料となる廃食用油などの確保が課題で、エネルギー安全保障の観点からも原料の多様化が求められている。ATJは多様なバイオマス由来のアルコールを原料にできるため、原料の安定調達と多様化に貢献できる技術として位置づけられる。
両社の連携では、国内のE2G製造拠点とATJ-SAF製造プラントを結ぶロジスティクスの検討に加え、純国産ATJ-SAFに関する情報発信や、社会実装に向けた制度・環境整備の観点からの検討も進める。サプライチェーン構築に向けた課題抽出と解決に共同で取り組む。
森空BRが手がける「森空プロジェクト」には、日本製紙・住友商事・Green Earth Institute・JAL・住友林業・エアバスなど、原料生産から航空輸送までを担うプレイヤーが参画している。原料の木材調達からエタノール製造、SAF精製、航空機での利用まで、バリューチェーンの各段階を国内企業が担う構図は、SAFの国産化とエネルギー安全保障の両立を狙う動きだ。
SAFは2030年に向けて国内航空会社への供給義務化が進む見通しで、原料確保が業界共通の課題となっている。木材という国内に豊富な資源を活用したSAFサプライチェーンの構築は、輸入原料への依存を減らす一手として注目される。製造業全体で見ても、自社が排出するCO2の削減だけでなく、燃料・原料の脱炭素化という上流からの転換が問われる時代に入っている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000658.000023740.html
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