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マイクロ波を利用した金属製錬/鉱山プロセス標準ベンチ装置による鉄鉱石の還元に成功 マイクロ波化学が約15kgのベンチスケール実証を完了

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左が還元前の鉄鉱石、右が還元後の鉄鉱石。マイクロ波化学が保有する回転炉床炉型の金属製錬/鉱山プロセス標準ベンチ装置を用いた実証試験で約15kgの還元に成功した。(出典:マイクロ波化学)

マイクロ波化学は2026年5月26日、独自のマイクロ波を利用した金属製錬・鉱山プロセス標準ベンチ装置を用いた実証試験で、鉄鉱石約15kgの還元に成功したと発表した。実用化に向けた重要なマイルストーンであるベンチスケールでの実証を完了し、今後は製鉄会社・資源会社・エンジニアリング企業など幅広い企業とのパートナーシップ構築を目指す。

鉄鋼業界の脱炭素は世界的な重要課題だ。同社の発表によると、鉄鋼業界が排出する温室効果ガスはCO2換算で世界全体の約7〜8%(2024年)に及び、日本国内でも鉄鋼業からのCO2排出量は産業部門の約39%、国全体の約13%を占める(2023年度)。現在主流の高炉法では、石炭(コークス)で鉄鉱石を還元する過程で大量のCO2が不可避的に排出される。鉄鋼業のカーボンニュートラル実現には、製鉄プロセスそのものの抜本的な転換が求められている。

マイクロ波還元技術の利点は2点ある。第1に、マイクロ波は対象物を直接加熱できるため、炉全体を高温にする従来方式と比べて消費エネルギーを抑えられる。鉄鉱石はマイクロ波を吸収しやすい特性を持つため、効率的な加熱が可能だ。第2に、水素やバイオマスを還元剤として用いる製鉄プロセスにも適用できる。コークスに依存しない還元方式の選択肢を広げることで、鉄鋼業の脱炭素の道筋を多様化できる。

同社は2023年12月にラボスケールでの鉄鉱石還元に成功し、2024年4月に標準ベンチ装置を完工していた。今回、回転炉床炉型のベンチ装置で約15kgの還元に成功したことで、ラボからベンチへのスケールアップという大きな関門を越えた。マイクロ波プロセスはこれまでスケールアップが技術的な壁となってきたが、同社はマイクロ波化学プロセスの量産化ノウハウを駆使してこの課題に取り組んでいる。

製鉄プロセスの脱炭素では水素還元製鉄(直接還元法)が国家プロジェクトとして進む一方、マイクロ波による還元というアプローチは、エネルギー効率の観点から異なる解を提示する。大阪発のスタートアップが鉄鋼業の最も重い課題に独自技術で挑む構図は、製造業の脱炭素に複数の技術的選択肢が並走し始めたことを示している。今後はプロセス条件の最適化、CO2削減効果の定量化、連続運転の検証が実用化への鍵となる。

マイクロ波化学は大阪大学発のスタートアップで、マイクロ波を用いた化学プロセスの実用化・量産化を手がけてきた。化学品製造で培ったスケールアップ技術を製鉄・製錬という重厚長大産業に応用する点が同社の強みだ。鉄鋼業は装置産業の中でも特に設備が大規模で転換のハードルが高いが、既存の高炉を置き換える革新的製鉄技術の競争は世界規模で進んでいる。日本発のマイクロ波還元技術がこの競争の中で確かな立ち位置を築けるかどうかは、今後のスケールアップ実証とパートナー企業との連携にかかっている。


関連情報

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000076344.html

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