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ロームのSiC MOSFETが、HVDC化が進むAIサーバー向けBBUに採用 ±400V・Tj175℃の高温耐性がパワーデバイスの選定理由

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採用されたローム製SiC MOSFET「SCT4013DLL」

ローム株式会社は2026年5月21日、同社の750V耐圧SiC MOSFET「SCT4013DLL」がAIサーバー電源のBBU(バッテリーバックアップユニット)に採用されたと発表した。生成AIの普及による電力需要急増を背景に進む、データセンターのHVDC(高圧直流給電)アーキテクチャへの移行をパワー半導体の側面から支える採用事例だ。

データセンターの電力問題は深刻化している。生成AIモデルの学習・推論に使われるGPUの消費電力が急増し、サーバーラック1台あたりの電力密度は従来の数倍に達しようとしている。この課題に対し、送電ロスを低減できるHVDCアーキテクチャへの移行が加速している。現在主流の±400V電力供給から次世代の800VDCへと高電圧化が進む中、停電や瞬停などの異常時にシステムとデータを保護するBBU・CU(キャパシタユニット)の役割はいっそう重要になっている。

今回採用されたSCT4013DLLは、最大ジャンクション温度(Tj)175℃という高い温度耐性を持つ。高電圧・高電力密度化に伴い発熱量が増加するBBUでも安定動作が求められるため、シリコン(Si)素材では実現困難なこの特性がSiCパワーデバイスの選定理由となった。また、現行の±400V構成と次世代の800VDC構成のいずれでも同一の750V耐圧モデルが使用可能な設計になっており、電源システムの世代交代を跨いで継続採用できる点も評価された。

ロームはSiCウエハ製造から製造プロセス・パッケージング・品質管理まで一貫生産体制を持つSiC分野のリーディングカンパニーだ。今後はSiC・GaN・シリコンを組み合わせたパワーデバイスとアナログICを統合したソリューション提案を強化し、AIサーバーとデータセンター市場向けの電力効率向上を支援する方針だ。

パワー半導体はEV・再エネ・産業機器に続いてAIデータセンターという新たな大需要領域を迎えている。SiCを中心とした次世代パワーデバイスの採用が特定の用途から広がっていく流れの中で、AIサーバー向けBBUという具体的な採用事例は、データセンターのパワーエレクトロニクス設計の方向性を示す指標となる。

データセンターのエネルギー消費はIEAの推計で2026年以降も急増が見込まれており、電力インフラの効率化と信頼性確保は世界的な課題だ。SiCパワーデバイスの採用によるBBUの小型化・高効率化は、ラック密度の向上と省エネを同時に実現する重要な技術的選択肢となっている。ロームがデルタ電子などのデータセンター電源メーカーとHVDCソリューションで連携する動きも続いており、AIサーバー電源市場でのSiC普及は加速する見通しだ。


関連情報

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000062988.html

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