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京都フュージョニアリング、ITER向けトリチウム回収・計量システムのモックアップ開発をQSTから受注 民間スタートアップが核融合の中核技術を担う

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京都フュージョニアリングが開発を進めるフュージョン燃料サイクル関連機器の一部。ITERのテストブランケットモジュール計画向けにトリチウム回収・計量システムのモックアップを設計・製作する。

核融合発電の実現に向けた世界最大の実験炉ITER(南フランス建設中)において、日本独自の技術が具体的な形で試される局面が来た。京都フュージョニアリング(KF)は2026年5月15日、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)よりITERテストブランケットシステム向けの「トリチウム回収システム(TES)」と「トリチウム計量システム(TAS)」のモックアップ開発を受注したと発表した。

核融合炉では重水素とトリチウムの核融合反応でエネルギーを取り出す。トリチウムは天然には極めて少なく、炉内の「ブランケット」と呼ばれる層でリチウムに中性子を照射して生産する必要がある。TES(トリチウム回収システム)はブランケット内で生成されたトリチウムをヘリウムガスとともに取り出し、乾燥塔やパラジウム拡散器を通じて回収・分離する設備だ。TAS(トリチウム計量システム)は回収されたトリチウムの量を高精度で測定・管理する。この2システムは核融合プラントが「燃料を自給できる」ためのカギを握る中核設備だ。

今回受注したモックアップは、南フランスのITER本体への実装に先立ち、日本国内で設計上のリスクを抽出し技術の確度を高めるためのものだ。KFが設計・製作したのち青森県のQST六ヶ所フュージョンエネルギー研究所のブランケット工学試験棟に据え付けられ、その後ITER本体へのテストブランケットモジュール(TBM)実装に向けた試験・実証に活用される。KFはITER標準の制御ソフトウェアCODAC Core Systemを用いた遠隔制御プログラムの構築も担い、ITER設備と同等の制御環境での検証を進める。

KFはカナダ原子力研究所とのジョイントベンチャーであるFusion Fuel Cycles社が世界初の統合型トリチウム燃料サイクルシステム試験施設「UNITY-2」をカナダで建設中だ。UNITY-2が持つ世界最先端のトリチウム精製・計量技術が今回のTBM計画にも反映される。京都大学発スタートアップとして設立されたKFが、ITERという人類史上最大の科学プロジェクトに民間企業として深く関与する構図は、フュージョンエネルギーの産業化・社会実装を民間が主導する時代の幕開けを示している。

ITERは35か国が参加する国際プロジェクトで、総工費は当初予算から大幅に増加して100億ユーロ規模とも言われる。TBM計画は参加各極がそれぞれ独自に開発した技術をITERに持ち込んで比較検証する特別な枠組みであり、日本がここで独自技術の有効性を示せるかどうかは、将来の商用炉設計における国際競争力に直結する。KFのような民間スタートアップがQSTと連携してこのフェーズを担うことは、日本のフュージョン産業エコシステムの成熟を象徴する出来事だ。


関連情報

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000072520.html

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