
家庭の台所から出る廃食用油が航空機の燃料に変わる——そんなサーキュラーエコノミーの循環が名古屋で動き出した。日揮ホールディングス、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYの3社は2026年4月30日、名古屋市と中部国際空港との間で「廃食用油の資源化促進に係る連携及び協力に関する協定」を締結したと発表した。名古屋市が市内71か所の回収協力店舗で集めた廃食用油の一部を、SAF(持続可能な航空燃料)の原料として資源化する取り組みで、4月から廃食用油の回収を開始している。
回収された廃食用油はレボインターナショナルが収集し、大阪府堺市のコスモ石油堺製油所内に設けられたSAFFAIRE SKY ENERGYのSAF製造装置へ運ばれる。本装置は2024年12月に建設完了・2025年4月からSAF供給を開始済みで、国内初のSAF大規模生産設備だ。廃食用油のみを原料として年間約3万キロリットルのSAFの供給を目指す。製造したSAFは国際持続可能性認証「ISCC CORSIA」を取得しており、中部国際空港をはじめとする国内主要空港発の国際線旅客機・貨物機の燃料として使用される。
本事業はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業に採択されており、日揮HDが発起人を務める「Fry to Fly Project」の核心プロジェクトとして位置づけられる。名古屋市は2009年から廃食用油の回収を開始し、2025年度には約6万リットルを回収してきた実績がある。従来はバイオディーゼル燃料への資源化が主だったが、今回の協定でSAFという高付加価値用途への転換が始まった。
製造業のGX担当者にとってこの取り組みが示す意義は2点ある。第1は「廃棄物が航空燃料になるサプライチェーン」の実用化だ。廃食用油という身近な廃棄物を起点に、回収・輸送・精製・認証・供給までを一気通貫でつなぐスキームは、製造業の廃棄物を価値ある資源に変える循環モデルの参考になる。第2はSAFの調達可能性だ。企業の航空機利用に伴うScope 3排出量削減手段として国産SAFの需要は高まっており、国内調達の選択肢が広がりつつある。
SAFは従来の航空燃料と比べてライフサイクルでのCO2排出量を最大80%削減できるとされており、国際航空業界が掲げるカーボンニュートラル目標の達成に不可欠な燃料だ。しかし現状は価格が従来燃料の2〜5倍と高く、安定供給と低コスト化が課題として残る。国産廃食用油を原料とした本モデルは、輸入依存を減らしながら供給量を増やす方向を示しており、名古屋・中部国際空港というエリアのSAFエコシステム構築の起点として注目される。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000329.000065135.html
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