
EV向け正極材を製造する住友金属鉱山の新居浜工場(愛媛県新居浜市)で、オンサイト型自家消費太陽光発電サービスが2026年4月に運転を開始した。SMFLみらいパートナーズ(三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社)がPPA(Power Purchase Agreement)モデルで設備を設置・運営し、発電した電力を同工場に供給する仕組みだ。
設備の規模は生産棟全3棟の屋根に太陽光パネル約3,000枚・パネル容量約1.8MWの大規模設備で、2026年度は約220万kWhの発電を見込む。これは新居浜工場で使用する電力の約7%に相当する。住友金属鉱山にとってPPAモデルによる太陽光発電設備の導入は今回が初めてで、初期投資の負担なしに再エネを調達できる点が採用の決め手となった。
新居浜工場は2025年に商業生産を開始したEV正極材(リチウムイオン電池材料)の製造拠点だ。EV普及の文脈でスコープ3排出量への規制・要求が強まるなか、電池材料メーカーが自工場の電力をグリーン化する動きは加速している。Scope 1・2に加えてサプライチェーン全体のカーボン排出量が評価対象となる時代に、「電池材料の製造段階での再エネ比率」は自動車メーカー・電池メーカーの調達判断に影響する。
PPAモデルの最大の特長は初期費用ゼロだ。設備はSMFLみらいパートナーズが所有・管理し、住友金属鉱山は使用した分の電力料金を支払う。製造業が自家消費型太陽光を導入する際のハードルを大幅に下げる仕組みとして普及が進んでおり、本案件はEV素材という高需要分野での典型的な活用事例となる。
自社工場の脱炭素化をどう進めるか悩む製造業のDX・設備担当者にとって、EV正極材という量産製品の製造拠点が初期投資ゼロで再エネ化を進めた事例は、導入可否の検討材料として参考になる。
住友金属鉱山は430年超の歴史を持つ住友グループの源流事業を受け継ぐ会社で、資源・製錬・材料の3事業を軸にニッケル・銅・金などの金属素材を供給してきた。近年はEV向け正極材を成長領域と位置づけ、新居浜のほかにフィリピンやカナダでも生産拡大を進めている。脱炭素要件を満たした生産体制の構築は、グローバルな調達競争でのプレミアム評価につながるという戦略的判断もある。
SMFLグループは再生可能エネルギー事業・省エネ機器ファイナンス・脱炭素補助金支援など製造業の脱炭素化に向けたワンストップサービスを拡充しており、今後も同種の案件が増えると見込まれる。屋根に太陽光パネルを置けるスペースがある製造拠点であれば、PPAモデルの導入検討は有力な選択肢となる。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000180.000084204.html
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