
日立製作所が開発した、AIを活用した物流向け配送・倉庫・EV充電の統合計画技術「Hitachi Digital Solution for Logistics(HDSL)」のEV向けサービスが、2026年4月7日、日刊工業新聞社主催の「第55回日本産業技術大賞」で最高位の内閣総理大臣賞を受賞した。同賞は1972年創設の歴史ある産業技術表彰制度で、その年に実用化された革新的な技術に与えられる。
物流業界が抱える課題は重層的だ。2024年問題によるドライバー不足、物流コストの上昇、さらにはEVトラックへの移行に伴う新たな制約が加わっている。EVトラックは充電スケジュールを考慮しない配送計画では電欠が発生し、かといって過剰充電は電力コストを押し上げる。こうした複合的な制約を同時に最適化することが、従来の熟練者依存の計画業務では限界に達しつつあった。
日立が開発したHDSLのEV向けサービス「EV充電配送」は、配送ルートや車両割り当てに加えて、倉庫のトラックバース、EV充電器の空き状況、拠点の電力上限といった多様な制約を一括して考慮し、実用時間内で実効性の高い配送計画を自動立案する。ヒューリスティック手法(問題の特性や過去の知見をもとに短時間で実用的な解を得る手法)と数理計画法を組み合わせた日立独自のAIアルゴリズムによって、複雑な最適化問題を解く。国内の大手運送会社をはじめとする物流現場での運用実績を積み上げてきた。
製造業にとってこの技術が持つ意味は、原料や製品の幹線輸送に直接関わる。工場間の部材輸送や配送センターとの連携において、EVトラックへの移行を進めるためには、充電・配送・電力管理を統合した計画基盤が不可欠になる。日立は2026年4月施行の改正物流効率化法への対応としても、物流データを一元管理してKPIを可視化する新サービスの提供を開始しており、製造業・流通業の物流DX全体を支援する体制を整えている。
日本産業技術大賞は、革新的な技術に対して経済産業省などが後援するかたちで毎年贈られる権威ある賞だ。最高位の内閣総理大臣賞を受賞したことは、この技術の実用性と社会的インパクトが産業界全体から認められた証でもある。脱炭素と物流効率化という2つの社会課題を同時に解決しようとするアプローチとして、製造業のDX推進担当にとっても示唆に富む事例となっている。2026年4月7日、経団連会館で開催された贈賞式にて表彰状と盾が授与された。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000141666.html


