
GaN(窒化ガリウム)パワー半導体はSiCとともに次世代電力変換の主役候補とされてきたが、その高いスイッチング速度を活かし切るにはゲートドライバー側の対応が不可欠だ。STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は2026年4月6日、GaN HEMT向け高速ハーフブリッジゲートドライバー「STDRIVEG212」と「STDRIVEG612」の2製品を発表した。いずれも現在量産中で、1,000個購入時の単価は約1.25ドル(約188円)だ。
STDRIVEG212は最大220Vのハイサイド電圧に対応し、STDRIVEG612は最大600Vまで対応する。エンハンストモードGaN HEMTに対して厳密に制御された5Vのゲート駆動信号を供給し、ハイサイドとローサイドの伝播遅延時間の差はわずか50nsに抑えられている。これにより、特にモーター制御のようなハードスイッチングが求められるアプリケーションでのGaN技術の性能を最大限に引き出すことができる。
両製品の内蔵LDOはシンク側最大1.8A(1.2Ω)、ソース側0.8A(4.0Ω)の電流容量を持ち、ターンオン時とターンオフ時のインピーダンスを個別に設定できる出力アーキテクチャを採用した。これによりそれぞれのdV/dtとdI/dtを最適化でき、ターンオフダイオードが不要になる。部品点数の削減とゲートループインダクタンスの低減が同時に実現し、基板設計の簡素化に寄与する。
保護機能の面では、過電流検出時に両方のGaN HEMTをオフにするコンパレーター、スマートシャットダウン(smartSD)機能による冷却が確認されるまでのオフ状態自動維持、低電圧ロックアウト(UVLO)などを統合している。フォルトピンから過電流・過熱・UVLOの状態を取得できる構成で、インバーター設計での診断対応も容易になる。
動作温度範囲は-40〜125℃の産業機器グレードで、QFNパッケージ(4×5mm)にコンパクトに収まる。モーター駆動向けインバーター、太陽光発電インバーター、サーバー電源、産業用電源などへの適用が想定されており、製造設備の省エネ化・小型化を検討する製造業エンジニアにとって参照すべき製品の一つだ。
なお今回のSTによるGaNドライバー投入は、先日発表されたSTM32 MPU向けPMICに続く連続したアナログ系製品の拡充だ。産業機器向けに電源管理から電力変換駆動まで一気通貫でカバーしようとするSTのエコシステム戦略の一環として捉えることができる。5Vのハイサイド起動時間は5µsで、ロジック入力ピンは最大20Vに耐える設計となっており、システム統合の柔軟性も確保している。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001543.000001337.html


