
EmplifAIは2026年9月29日、双腕による作業と車輪移動に、表情・声によるコミュニケーションを組み合わせたヒューマノイド「OpenShell」を開発したと発表した。頭部・双腕・グリッパー・台車に合計28軸を備える。オープンソースのハードウェアを基盤とし、研究目的に合わせて身体と知能を拡張できるプラットフォームとして、購入・共同開発の相談を受け付ける。
ヒューマノイドに「顔」を持たせ、意図を伝える
ヒューマノイドとは、人の体の構造を模したロボットを指す。
開発の背景には、人と同じ空間で働くロボットに求められる2つの要素がある。物を運び、操作する作業能力に加え、人がその動きや意図を理解しやすいことだ。同社は「人と働くために、顔がある」をコンセプトに掲げ、作業能力とコミュニケーションの両面を検証するために本機体を開発した。
特徴の第1が頭部だ。ナマケモノをモチーフとした頭部に、パン・チルトと口角・口パクの計4軸を搭載する。顔の向きや表情、声を通じて、注意の方向や動作開始を示すといった、人とロボットの関わり方を研究できる。頭部デザインはアーティストの藤堂孝行氏が手掛けた。
頭部は交換・拡張が可能で、ステレオカメラを搭載する。VRゴーグルや3Dディスプレイでの立体視に対応し、カメラ・ディスプレイ・表情機構を用途に合わせて変更できる。なお、表情や意図の提示は安全機能とは独立したHMI(人と機械のインターフェース)と位置付けている。
合計28軸の構成と、力覚フィードバックによる遠隔操作
第2の特徴が機体構成だ。腕部にはOpenArm 01、台車にはTidyBot++を採用した。肘が前に出るように腕を取り付け、前方での作業をしやすくしている。片手で2Lのペットボトルを持てる。
軸の内訳は、頭部4軸(パン・チルト・口角・口パク)、腕7軸×2の14軸、グリッパー1軸×2の2軸、台車8軸(4輪×操舵・車輪駆動の2軸)で合計28軸となる。台車は8つの駆動軸により、前後・左右・旋回の3自由度の移動に対応する。3D LiDARをオプションで搭載すれば自律移動にも対応できる。
第3が遠隔操作機能だ。バイラテラルリーダーアームによる力覚フィードバックに対応し、操作に対するロボットの動作倍率を下げる精密モードを使える。細かな作業の検証に活用できる。VRコントローラーでの操作にも対応する。
第4がソフトウェアの拡張性だ。ROS 2、SDK、LeRobotに対応し、独自のVLA(Vision-Language-Action)モデルや模倣学習、強化学習、各種センサーを接続できる。頭部やハンド、AIを交換・追加し、研究テーマに応じた制御やハードウェアを検証できる構成とした。
同社が重視するのは、収集するデータの中身だ。遠隔操作による作業実演と、視覚・行動・対話・非言語の同期記録を通じて、動作だけでなく、意図の提示や応答の間も研究対象とする。収集したデータを作業能力と対人インタラクションの評価・学習・改善につなげる。
本機体は、AIロボット協会(AIRoA)がNEDO委託事業の一環として実施する「国産汎用ロボット開発コンペティション」に提案する機体でもある。
EmplifAIは東京都文京区に本社を置く。同社は今後、公開可能なROS 2パッケージやインターフェースを順次オープン化し、研究コミュニティとともにOpenShellの改善・拡張を進める。研究機関・企業との共同開発を通じて、身体と知能、人との関わり方を一体で研究できる基盤を目指すとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000157243.html
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