
NEDOは2026年7月29日、委託事業の一環としてニコンが取り組んできたアライメント計測システムの高精度化について、次世代計測システムに必要な要素技術を確立したと発表した。半導体ウェハの位置と方向を正確に測定する技術で、先端半導体の製造プロセスの歩留まり向上に寄与する。ニコンは開発した技術の一部を搭載したアライメントステーション「Litho Booster 1000」を製品化し、受注を始めた。
アライメント計測は、半導体の製造工程でウェハの位置や方向のずれ、ひずみを測る技術だ。露光の前にウェハのゆがみを高速かつ高精度に計測し、補正値を露光装置へ渡すことで、微細なパターンを精度よく重ねられるようにする。
開発の背景には、半導体の高性能化・省電力化に伴う製造技術の高度化がある。デバイスの微細化・高集積化に加え、複数のウェハやチップを垂直方向に積み重ねる三次元積層化が進み、高度な製造技術が求められている。ウェハ間やデバイス間を接続する電極は数が増え、細線化も進んでいるため、微細なパターン同士をより高精度に重ねる必要がある。
計測の精度を高める手段としては、目印となるアライメントマークをウェハ上に高密度に配置し、高頻度に計測する方法がある。ただし、マークを小型化したり間隔を狭くしたりすると、計測時のコントラストが低下し、検出精度が劣化する問題があった。また、高密度化・高頻度化は計測時間の増大やデータ処理量の増加を招く。さらに、製造プロセスによってはマークが表層になく、光を通しにくいカーボン系ハードマスクや多層に積層したシリコンの下層にあるマークを検出しなければならない場合がある。その際は検出光の散乱や吸収で戻り光が大きく減衰し、従来の計測システムでは十分な検出感度や位置精度の確保が難しかった。
今回の成果は3点ある。第1に、新しい光学系の開発だ。高い空間分解能を保ちながら、可視域から近赤外域までの広帯域光に対して色収差を抑える光学系を開発した。微細なマークの検出と、厚膜シリコン越しのマークの視認性を評価し、いずれも目標仕様を満たすことを確認した。第2に、高出力ワイドバンド光源の開発だ。従来より高出力化した光源を作製し、微細ピッチのマークの視認性と検出精度の向上、厚膜シリコン越しの下層マーク検出が可能なことを確認した。第3に、高精度アライメント計測システムの実証だ。これらの要素技術に制御系と計測ソフトウェアを統合したシステムを設計・製作し、精度、再現性、スループットが目標仕様を満たすことを検証した。
製品化した「Litho Booster 1000」は、従来機種と比べて計測精度が約35%、スループットが約10%向上した。搭載しなかった要素技術についても、市場動向と顧客ニーズを見ながら、後継機種への段階的な実装を念頭に開発を続ける。本事業の期間は2021年度から2025年度までで、ニコンとNEDOが共同で進めてきた。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000135644.html
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