
マイクロ波化学は2026年7月28日、開放空間で利用できるマイクロ波技術と、この技術を用いた装置を開発し、特許を出願したと発表した。電子レンジのような閉鎖空間に限らず、多様な環境下でマイクロ波を使えるようにする。今後、共同開発のパートナー企業との協業を進め、幅広い産業のプロセス革新につなげる。
マイクロ波は、電子レンジなどに使われる電磁波の一種だ。対象物を内部から直接加熱できるため、化学プロセスの省エネルギー化や時間短縮の手段として活用が進んでいる。一方、これまでマイクロ波の利用は、電磁波の漏洩を防ぐため、キャビティと呼ぶ閉鎖空間に限定されるという認識が一般的だった。開放空間での活用手法も存在するものの、その手段が広く知られていないことや、技術・装置の操作性に課題が残されていた。マイクロ波化学は、開放空間で使える技術・装置の利便性を追求し、独自の制御技術を確立して特許の出願に至った。
開発した技術は、マイクロ波を特殊な線路構造から発振し、線路の周辺にのみ強い電界を形成する仕組みだ。電界は、電気の力が働く空間の状態を指す。これにより、高いエネルギーを持つ空間を対象物の周辺に留め、開放空間であっても無秩序なマイクロ波の漏洩を制御できるようにした。同社は現在、この技術を用いたハンディサイズのマイクロ波照射装置を製作し、実証試験で活用している。

本技術の特徴は4点ある。第1に、照射範囲を所定の範囲に留められる。第2に、対象物までの距離や照射範囲を柔軟に制御できる。第3に、既存の製造ラインや装置へ後付けできる。第4に、小型・軽量なものから、巨大インフラに対応する大型装置まで幅広く対応できる。
想定する利用シーンは4つある。複雑な構造物の搬送プロセスでの効率的な加熱、大型建造物の加工・処理、特定箇所の非破壊検査やセンシング、ロボットアームやドローン、3Dプリンターと組み合わせた新たな製造・補修技術だ。非破壊検査は、対象物を壊さずに内部の状態や欠陥を調べる検査手法を指す。
対象となる主な分野は、エレクトロニクス・半導体分野、モビリティ・自動車分野、社会インフラ分野となる。閉鎖空間に入れられない大型の構造物や、製造ラインに組み込まれた設備に対しても、マイクロ波による加熱や検査を適用できるようになる。
マイクロ波化学は、2007年設立の大阪大学発スタートアップで、マイクロ波を用いた製造プロセスの開発を手掛けている。同社は、本技術の実用化と用途拡大に向けてパートナー企業との共同開発を進めるとともに、独自のマイクロ波制御技術を深化させ、さまざまな領域でのプロセス革新と社会課題の解決に取り組むとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000076344.html
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