
ロームは2026年7月9日、SiC(シリコンカーバイド)MOSFET向けの新パッケージ「TSC3PAK」を開発したと発表した。放熱面をパッケージ上面に配置した面実装品で、従来の挿入型パッケージと同等レベルの放熱性能を持つ。xEV(電動車)のオンボードチャージャー(OBC)や電動コンプレッサーなどで、電力変換回路の高効率化と高信頼化に用いる。2026年6月から量産を始めた。
SiCは、シリコンよりバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体の一種で、高耐圧・低損失の特性を持つ。MOSFETは電力のスイッチングを担う半導体素子で、SiC MOSFETはパワー半導体としてxEVや産業機器に採用が広がっている。
開発の背景には、SiCデバイスの採用拡大と実装上の課題がある。xEVでは、充電速度の向上や航続距離の延伸を目的に、主機インバータに加え、OBCや電動コンプレッサーなどの電力変換回路でもSiCデバイスの採用が拡大している。産業機器分野でも、高性能サーバー電源やPVインバータなどの高効率動作に寄与するデバイスとして搭載が進んでいる。従来のSiCデバイスは、大電力動作時の発熱を効率よく放散するため、放熱性に優れる挿入型パッケージが主流だった。ただし挿入型は、手作業による実装工程を伴うほか、パッケージ形状の制約で低背化が難しいという課題があった。
こうした課題に対し、近年は自動実装が可能な面実装タイプのSiCデバイスが普及し始めている。「TSC3PAK」は、寸法が14.00×18.58×3.50mmの面実装パッケージでありながら、放熱面を上面に配置する構造により、挿入型パッケージ「TO-247-4L」と同等レベルの放熱性能を持つ。
高耐圧に向けた工夫もある。パッケージに独自の溝を設けることで、ローム調べで業界最高クラスとなる沿面距離6.66mmを確保した。沿面距離は、2つの導電体間の絶縁物の表面に沿った最短距離を指し、半導体設計では電撃や漏電、短絡を防ぐために確保する必要がある。これにより、汚染度2の環境下で1200VのACピーク電圧に対応する。汚染度2は、家庭やオフィスなど一般的な環境に相当する等級だ。市場で広く普及するパッケージとの互換性を持ちつつ高い絶縁性を確保することで、実装コストの削減と信頼性向上にも寄与する。
新パッケージには、ロームの第4世代SiC MOSFETを搭載した。低オン抵抗と高速スイッチング特性により、電力変換時のスイッチング損失を低減し、機器の高効率化と省電力化に寄与する。想定する用途は、車載機器ではOBCや電動コンプレッサー、産業機器ではPVインバータやサーバー電源などだ。

新製品のサンプル価格は1個5500円(税抜)だ。ROHM Online StoreやArrow.com、コアスタッフオンラインなどから購入でき、回路検討用のシミュレーションモデルもローム公式サイトで入手できる。ロームは今後も、SiC MOSFETのラインアップ拡充を通じて、電子機器の高性能化・小型化・高信頼化に取り組むとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000062988.html
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