
大日本印刷(DNP)とElevationSpaceは2026年6月19日、資本業務提携契約を締結したと発表した。両社は人工衛星などの宇宙機器に使われる材料・部品を対象に、宇宙環境での軌道上実証から地上で回収した後の分析・評価までを一体で提供するサービスを共同で開発する。宇宙環境で実証した材料・部品の信頼性向上を支援し、宇宙機器への活用拡大と安定供給につなげる。
提携の背景には、宇宙産業の拡大と、それを支える材料・部品の供給課題がある。地球観測衛星による遠隔監視や、衛星を活用した通信サービスの拡大など、宇宙空間を活用した社会インフラの構築が世界的に進んでいる。世界のスペースエコノミー(宇宙経済)は、2023年の約6300億ドルから2035年には約1兆8000億ドルへ成長すると予想されている。日本政府も宇宙基本計画や宇宙戦略基金を通じて、宇宙分野の技術開発や民間企業の参入支援を進めている。
一方、宇宙機器の開発・製造には、宇宙環境に耐えられる材料・部品の安定供給が欠かせない。宇宙空間での使用実績を持つ材料・部品は限られており、一部は海外製品への依存が続いている。さらに国内では宇宙環境での実証機会が限られ、民間企業が宇宙産業へ参入する際の課題となっていた。両社は、実証から回収後の分析・評価までを一貫して提供するサービスの開発を通じて、この課題の解決を目指す。
提携による主な取り組みは2つある。1つ目は、宇宙実証・回収・分析のワンストップサービスの開発だ。材料・部品の地球低軌道での実証から、地上で回収した後の分析・評価までをワンストップで提供する。ElevationSpaceが開発を進める軌道上実証・回収技術と、DNPが培ってきた材料・部品の分析・評価技術を組み合わせることで、これまで限られていた宇宙実証の機会を拡大し、宇宙機器向け材料・部品の開発サイクルの迅速化と信頼性向上につなげる。
現在、宇宙空間で実証した材料・部品を地上に回収する機会は、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の交代・帰還時などに限られている。ElevationSpaceは、より高頻度で効率的な実証・回収サービスの開発を目指している。地球低軌道は一般的に高度2000kmまでの範囲を指し、地球観測や衛星通信などで多くの衛星が利用している。
2つ目は、ElevationSpaceの宇宙実証・回収機の開発支援だ。同社が開発を進める宇宙実証・回収機で使う耐熱材料などについて、DNPが宇宙実証の前後で性能や劣化状況を分析・評価する。材料の組成や物性・耐久性を分析したレポートを提供するとともに、評価基準やグレードの設定を支援し、宇宙実証・回収機の開発効率化と性能向上につなげる。
両社は今後、宇宙環境における材料・部品の軌道上実証・回収・分析サービスの開発を進め、宇宙産業への参入を目指す多様な企業へ提供する。将来的には月面開発向けの材料・部品への適用も視野に入れ、多様なパートナーとの連携を通じて宇宙産業の発展に貢献するとしている。
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プレスリリース:https://www.dnp.co.jp/news/detail/20178354_1587.html
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