
Quanmaticとロームは2026年6月2日、ロームグループの生産拠点であるラピスセミコンダクタ宮崎工場における半導体製造の前工程に対し、量子技術を活用した最適化計算システムを実運用し、生産効率を3%向上させたと発表した。両社がこれまでEDS工程への量子技術導入で培ってきた知見を、工程数・制約条件ともにより複雑な前工程へと展開したものだ。実運用は2026年1月に開始し、現在も稼働している。
前工程とは、ウエハ上に半導体素子を形成する製造工程で、成膜・露光・エッチング・拡散・洗浄など多数の工程で構成される。前工程はEDS工程(ウエハ上のチップの電気的特性をテストする工程)に比べてプロセス数が大幅に多いだけでなく、同じ工程を繰り返しながら製造段階ごとに条件が変化する特性がある。そのため工程全体でボトルネックが生じやすく、全体最適化が極めて難しい領域とされてきた。
前工程の生産計画では、数百におよぶ工程条件に加え、装置・処理条件・処理順序・納期・処理量など多岐にわたる制約を同時に考慮しながら、ロットと装置の処理順序を決定する必要がある。半導体製造では人の目で直接確認できない工程が多く、装置に設定する条件の誤りが品質や納期に大きな影響を及ぼすため、厳格な制約条件管理が不可欠だ。今回導入した最適化計算システムは、これらの制約条件を網羅的に組み込み、ロームが蓄積してきた知見・ノウハウ・各種データを融合することで、宮崎工場の前工程全体における最適な生産計画を立案する仕組みを構築した。
導入効果として、工場の状況変化を反映したロットと装置の最適な処理順序を一定間隔で自動算出できるようになった。これにより「人待ち・物待ち」に起因する待機時間を削減し、生産されるウエハ枚数の増加につながった結果、生産効率が3%向上した。
両社は2025年7月にEDS工程への量子技術導入を発表しており、当時はセットアップ時のロスを40%削減する成果を上げていた。今回はその知見を発展させ、2025年にプロトタイプを構築したうえで、より大規模かつ複雑な前工程への適用を実現した。今後はロームグループ内のさらなる工程・拠点への展開を視野に入れ、半導体製造における生産性向上と安定供給体制の強化に取り組むとしている。
Quanmaticは量子計算と古典計算を融合させた高度アルゴリズムを活用し、企業の複雑な最適化課題を解決するソフトウェアを開発するスタートアップだ。早稲田大学・戸川望教授の研究成果を背景とした技術を強みに、ハードウェアに依存しない最適化ソリューションを提供している。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000117406.html
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