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車両床下検査システムの実証実験を開始します 近畿日本鉄道×シャープ、5年間の共同開発を経て西大寺車庫で実証へ

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西大寺車庫に設置された車両床下検査システムの設置状況。検査線入り口にカメラ・センサー・照明装置を設置し、車両進入時に自動で床下機器を撮影・解析する。(出典:シャープ)

近畿日本鉄道とシャープは2026年5月25日、画像処理技術を活用した車両床下検査システムの実証実験を2026年5月26日から開始すると発表した。西大寺車庫(奈良県奈良市)を実証フィールドとし、まず制輪子(ブレーキ部品)の残厚計測・機器の位置異常検出・変形検出の3項目を対象に有効性を検証する。

両社は2020年秋から共同研究を開始し、5年以上かけて本システムを開発してきた。近鉄の豊富な検査業務ノウハウと、シャープがテレビやスマートフォン開発で培った画像解析・処理技術を組み合わせることで、人手に頼っていた目視検査の自動化と省力化を目指した。

本システムの仕組みはシンプルだ。検査線の入り口に車輪検知センサ・カメラ・照明装置を設置し、車両が進入するとトリガーがかかって床下機器を自動撮影する。車両に搭載されたIDタグの情報と撮影画像を紐付けて処理・解析し、異常箇所や制輪子の摩耗状態をリストアップする。作業員が台車の下に潜り込んで目視する従来の検査方式と比べて、検査時間と人的負荷の大幅な削減が期待される。

実証実験では、(1)各検査機能の精度検証、(2)気候・日照・車両状態が変化する実環境下での精度検証、(3)システム運用方法の検証の3点に取り組む。将来的には人とシステムが連携した検査の効率化と、異常の予兆をつかむ「予兆保全」への展開も目指す。

インフラ保全の担い手不足は鉄道業界の構造的課題だ。年々高齢化する検査員の技能を画像データとAI解析に落とし込み、より少ない人員で同等以上の精度を実現する仕組みの確立は、鉄道の安全運行を支える社会インフラとして重要な意味を持つ。シャープが家電・デバイスで積み上げた画像処理技術が、インフラ保全という重厚な産業課題の解決に転用される今回の事例は、製造業の技術が産業横断で活きる典型例だ。

鉄道車両の検査頻度は法定義務として定められており、車両数が多い大手私鉄では年間に膨大な検査工数が発生する。近鉄は日本最長の私鉄路線網を持ち、保有車両は約1,000両を超える。これほどの規模での自動化が実現すれば、安全品質の維持と人員配置の最適化を両立できる。実証が成功した場合、他の鉄道事業者への横展開も視野に入る。インフラ老朽化・人材不足を同時に抱える社会インフラ維持管理の現場で、画像AI×センサー融合のソリューションがどこまで標準化できるか、本実証の結果は重要な参照データになる。


関連情報

プレスリリース:https://corporate.jp.sharp/news/260525-a.html

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