
OKIグループのOKIエンジニアリング(OEG)は2026年9月29日、SiCパワー半導体固有の劣化モードを評価する「AC-BTI試験サービス」を強化すると発表した。評価可能な製品と試験条件を拡大し、試験時間を従来比で最大75%短縮する。提供開始は2026年11月2日で、2027年度末までの累計売上1億円を目指す。
SiCパワー半導体のしきい値電圧上昇を評価する
AC-BTI(Alternating Current-Bias Temperature Instability)とは、ゲート端子にオン・オフの電圧ストレスを繰り返し加えた際に生じる、SiCパワー半導体特有の特性変動である。
SiCパワー半導体は、従来のシリコン(Si)製パワー半導体と比べて電力損失を抑えられるため、電気自動車やデータセンター向け電源、風力発電関連機器への採用が広がっている。宇宙機器への適用も検討されている。
一方で固有の課題もある。SiCパワー半導体の一種であるSiC MOSFETには、長期間にわたるスイッチング動作(オン/オフの繰り返し)によって、しきい値電圧が不可逆的に上昇する劣化モードがある。しきい値電圧は、トランジスタがオン状態になるために必要なゲート電圧を指し、上昇すると電力損失の増加につながる場合がある。長期信頼性を確保するうえで重要な評価課題となっていた。
OEGは、国内の受託試験所に先駆けて2024年9月からAC-BTI試験サービスを提供してきた。
試験期間を約231日から約58日へ短縮
今回の強化は、SiCパワー半導体の用途拡大に伴う顧客の要望と、欧州の信頼性規格AQG 324の改定を受けたものだ。AQG 324は、ECPE(European Center for Power Electronics)が発行する車載パワーモジュール向けの信頼性試験規格にあたる。2025年の改定では、ゲート端子に加えてドレイン端子にも電圧を印加するAC-BTI試験の条件が追加された。
OEGはカスタムメイドの試験装置を新たに開発・導入した。これにより幅広い試験条件に対応し、多角的な特性把握が可能になる。規格改定で追加された条件にも対応する。
短縮効果も具体的だ。スイッチング動作の高速化により、試験時間を従来に比べて最大75%短縮する。JEITA EDR-4713 Amend.1に記載されている風力発電関連機器(パワーコンディショナー)相当の試験では、従来約231日を要していた試験期間を約58日に短縮できる。JEITA EDR-4713 Amend.1は、電子情報技術産業協会が発行する化合物パワー半導体の信頼性試験方法に関するガイドラインで、AC-BTI試験について規定している。
提供価格は個別見積もりとなる。サービスの内容は、2026年9月30日から10月1日に開かれる「九州半導体産業展」で展示する予定だ。
OEGは、OKIグループで信頼性評価、環境試験、EMC試験の技術サービスを展開している。同社は今後、SiCパワー半導体向けの信頼性試験・評価・解析メニューを拡充し、顧客の製品開発や品質保証のニーズに応える技術サービスを広げるとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000913.000017036.html
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