
浜松ホトニクスは2026年9月29日、先進半導体パッケージの故障解析に対応した倒立型エミッション顕微鏡「iPHEMOS-DDX」を発売した。AIチップレットやHBM(広帯域メモリ)を採用した2.5D/3Dパッケージ、大型半導体パッケージが対象となる。3方向からのテスターダイレクトドッキングに対応し、7つの解析手法を1台に統合した。価格は1式1億6000万円(税抜、本体価格)で、同日から受注を始めた。
エミッション顕微鏡で先進パッケージの故障箇所を特定する
エミッション顕微鏡とは、半導体の異常箇所からわずかに生じる発光を検出し、故障位置を特定する装置である。
背景には、AIチップの高性能化に伴う構造の変化がある。生成AIの発展でAIチップなどの高性能化が進む一方、その構造は複雑化・微細化している。特にAIチップレットやHBMを採用した先進半導体パッケージでは、複数のチップやメモリを高密度に集積することでパッケージの大型化も進む。こうした構造では故障箇所の特定が難しくなり、高精度で効率的な解析技術が求められていた。
従来の故障解析では、解析手法ごとに複数の装置を使い分けることが多く、装置を切り替えるたびにサンプルの設置や装置の設定をやり直す必要があった。複数手法を統合した装置も登場しているが、高集積化・大型化が進む中で、1台でより多様な手法に対応する装置が求められている。
もう一つの課題が設置の制約だ。半導体の開発ラボや製造ラインはテスターを中心に構成されることが多い一方、テスターは設置後の移動が容易ではない。レイアウトを変更する場合、テスターの設置方向によって周辺装置の配置が制限されることがあった。

7つの解析手法を1台に統合、3方向からのドッキングに対応
本製品の特徴は3点ある。第1に、3方向からテスターとダイレクトドッキングできる構造だ。既設の電気的故障解析(EFA)環境へ柔軟に組み込めるため、ラボのレイアウトの自由度を高め、セットアップ工数の削減につながる。
第2に、先進半導体パッケージへの対応だ。AIチップレット、HBMスタック、インターポーザ、積層ダイ構造を採用したパッケージを対象とし、テスターとダイレクトドッキングした状態で故障箇所を特定する。インターポーザは、チップと基板の間に挟んで配線を中継する部材を指す。AIチップレットなどでは、テスターと接続した状態で1GHz以上のクロック周波数で動作させながら評価するため、その状態で異常現象を捉える技術の重要性が高まっている。
第3に、7つの解析手法を1台のプラットフォームに統合した点だ。PEM、Thermal/LIT、LSM、OBIRCH、DALS、EOP/EOFM、TD Imagingに対応し、発光解析だけでなく発熱解析やレーザ解析も扱える。低温・高安定設計による低ドリフト性能も備える。複数手法を1台に集約することで、故障解析のワークフローを効率化し、解析時間の短縮につなげる。
販売目標は1年目7式、3年目9式、5年目10式を掲げる。国内外の半導体メーカーおよび半導体製造装置メーカーが対象となる。2026年10月4日から8日まで米国テキサス州で開かれる「ISTFA 2026」にも出展する。
浜松ホトニクスは1953年9月設立で、静岡県浜松市に本社を置く。光技術を軸に、半導体故障解析装置のラインアップとして「Dual PHEMOS-X」「iPHEMOS-MPX」「PHEMOS-X」などを展開している。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000081184.html
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