
NEDOと三井化学、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーの5者は2026年9月17日、開発したアンモニア燃焼用バーナを用いた試験炉運転で、ナフサ分解炉として熱量基準で85%のアンモニア混焼率を達成したと発表した。4社の調べでは世界最高水準となる。NOx(窒素酸化物)の排出量も既設炉と同水準にとどめた。今後は炉全体でのアンモニア100%専焼運転を目指す。
ナフサ分解炉のアンモニア混焼率85%を達成
ナフサ分解炉とは、原油から得られるナフサを高温で熱分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学品を製造する設備である。プラスチックや合成繊維、合成ゴムの原料供給を担う一方、石油化学コンビナートにおける主要なCO2排出源の一つでもある。
従来、ナフサ分解炉では副生メタンを主成分とするオフガスを燃料に使ってきた。これを燃焼時にCO2を排出しないアンモニア燃料へ転換すれば、燃焼由来のCO2排出量を大幅に減らせる。
ただしアンモニアには扱いの難しさがある。メタンに比べて燃焼速度が小さく、燃料由来のNOxが発生するためだ。ナフサ分解炉で活用するには、火炎の安定、反応管への適切な熱供給、NOx排出量の抑制の3点を同時に満たす必要があった。
床バーナはアンモニア100%専焼、NOxは既設と同水準

開発したのは、床用と壁用の2種類のアンモニア燃焼用バーナだ。床バーナが炉への主要な熱供給を担い、壁バーナは火炎形状や炉内温度分布の調整に使う。
今回の試験では、アンモニア燃料の混焼率を段階的に引き上げた。床バーナはアンモニア100%専焼、壁バーナはナフサ分解炉のオフガス(メタン)100%という条件で運転したところ、炉全体として熱量基準で85%のアンモニア混焼率に達した。壁バーナへのアンモニア適用は今後進める予定だ。
あわせて、NOx排出量が既存設備と同水準であることも確認した。主要な熱供給を担う床バーナでアンモニア100%専焼を成立させたうえで、炉全体で85%という高い混焼率を得た点が今回の特徴となる。
なお、世界最高水準との評価は、2026年8月時点でナフサ分解炉を対象としたアンモニア燃料の試験炉運転における混焼率について、三井化学、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーが調べたものだ。
本事業は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」プロジェクトの一環である「ナフサ分解炉の高度化技術の開発/アンモニア燃料のナフサ分解炉実用化」にあたる。事業期間は2021年度から2030年度までを予定し、NEDOは2021年度から4社とともにアンモニア燃焼技術の開発に取り組んできた。
5者は今後、壁バーナへのアンモニア適用を進め、炉全体でのアンモニア100%専焼運転を目指す。さらに商用規模のナフサ分解炉への適用に向けた技術開発と実証を進め、石油化学産業の脱炭素化と基礎化学品の安定供給の両立につなげるとしている。
関連情報
プレスリリース(NEDO):https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101965.html
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