
名古屋大学発のスタートアップであるFAIは2026年7月16日、アイシン高丘と、鋳造製造性を考慮した多目的設計探索システムの共同開発を始めたと発表した。FAIが独自に開発する多目的トポロジー最適化技術とAIによる設計探索技術に、アイシン高丘が培ってきた鋳造技術・製造ノウハウを組み合わせ、鋳造部品に最適化した設計支援システムの構築を目指す。
自動車部品には、軽量化や高剛性、振動特性、耐久性、コストなど、多様な性能を高い水準で両立することが求められている。一方、従来の設計開発では、設計・解析・試作・評価を繰り返しながら課題を修正するため、多くの手戻りが生じ、開発期間の長期化や設計工数の増加が課題となっていた。
FAIの設計支援技術「Φ-Designer」は、設計の初期段階で最大1000ケース以上の設計・シミュレーションを自動実行し、複数の性能要件を満たす設計案を効率的に探索する。初期段階から十分な設計探索を行うことで、後工程での手戻りを削減し、設計開発の迅速化と製品性能の向上につなげる。
中核となるのが、多目的トポロジー最適化技術だ。トポロジー最適化は、与えられた条件のもとで材料をどこにどれだけ配置すれば性能を満たせるかを、コンピューターで自動的に導き出す設計手法を指す。多目的とは、軽量化と剛性のように、互いに相反する複数の性能を同時に扱うことだ。
共同開発では、この設計探索技術に、アイシン高丘が保有する鋳造技術や製造ノウハウを組み合わせる。鋳造は、溶かした金属を型に流し込んで成形する加工法で、湯の流れや冷却時の収縮など、形状に関わる固有の制約がある。こうした鋳造特有の製造制約を設計の初期から考慮しながら、軽量化、剛性、振動特性、コストなど複数の要求性能を同時に満たす設計案を自動で探索し、設計者の意思決定を支援する。

あわせて、AIによる設計案の整理・比較機能を活用し、用途や設計方針に応じて最適な設計案を効率的に選定できる環境の構築を目指す。膨大な設計案を自動探索しても、そこから選ぶ作業が負担になるため、AIが整理・比較を担う。
FAIは、「基礎理論と応用を数学で統合する」という考えを社名に込め、科学計算技術による効率的なものづくりをミッションに掲げる名古屋大学発の学生スタートアップだ。2024年2月に設立し、愛知県名古屋市のSTATION Ai内に拠点を置く。製造業の人手不足や生産性向上の課題に対し、独自技術を用いたシミュレーションによるソリューションを提供している。
FAIは今回の共同開発を通じて、鋳造製品に特化した設計支援技術を高度化するとともに、製造業の設計プロセスそのものの変革を目指す。設計初期から膨大な設計案を自動探索し、性能・製造性・コストを総合的に評価することで、開発工数の削減と製品性能の向上につなげるとしている。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000152458.html
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