
OKI・ライテラジャパン・慶應義塾の3者は2026年5月26日、空孔コア光ファイバーを用いた次世代光回線で、1.26μm〜1.58μmの広帯域波長多重信号の1芯双方向伝送に世界で初めて成功したと発表した。総務省の研究開発プロジェクト「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発」の一環で、実用化された場合は通信トラヒックの増大に対応しながら電力を10分の1まで低減できると見込む。
空孔コア光ファイバー(HCF:Hollow Core Fiber)は、中心部のコアが空洞になっており、光信号を空気中で伝送する次世代光ファイバーだ。ガラスの中を光が進む一般的な光ファイバーと比べて信号の劣化を抑えやすく、広帯域伝送・低遅延伝送に適している。伝送遅延は現在広く使われているシングルモードファイバーの約3分の2に短縮される。光が空気中を進むため、物理的に速く、減衰も少ないという特性を持つ。
今回の実証では、OKIが中心的に開発した次世代光回線システムのプロトタイプと、ライテラが開発した空孔コア光ファイバーを組み合わせた。1本のファイバーで双方向に広帯域信号を伝送する「1芯双方向伝送」を実現し、さらに最適な収容切替によって消費電力の最小化を確認した。テレワークの定着、超高精細映像の流通、生成AIを含むデジタルツイン社会の進展により通信トラヒックは急増し、それに伴い通信インフラの消費電力も増加している。大容量と低消費電力を両立する光通信網の実現は、社会インフラの持続性に直結する課題だ。
本成果は、慶應義塾が新川崎タウンキャンパスに設置した「未来光ネットワークオープン研究センター」を活用して得られた。OKIは次世代PONシステムに加え、空孔コア光ファイバーの特長を活かしたユースケース研究を推進し、毎秒100ギガビット級の100G-PONの実用化、およびNTT主導の次世代通信基盤構想IOWNに必要なアクセスシステムの実用化を目指す。ライテラは早期実用化に向けて特性改善と量産化を進める。
光ファイバーは1970年代の実用化以来、社会の通信インフラを支えてきた基盤技術だ。その心臓部であるコアを「空気」に置き換えるという発想の転換が、AIデータセンター時代に求められる低遅延・省電力という新たな要求に応える可能性を持つ。電力を10分の1に低減できるという見込みは、データセンターの電力問題が深刻化する中で大きな意味を持つ。世界初の双方向伝送実証は、次世代光通信インフラの実用化に向けた重要な前進だ。
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000881.000017036.html
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