
協働ロボット(コボット)市場に、産業用ロボット大手のABB Roboticsが新たな製品ファミリーを投入した。ABBは2026年4月23日、高速・高可搬重量の協働ロボット「PoWa(ポーワ)」シリーズを発表した。可搬重量7kgから30kgまでの6機種を揃え、最大速度はクラス最高レベルの5.8m/sを実現する。
PoWaが解消しようとするのは、従来の協働ロボットと産業用ロボットの間に存在した「市場のギャップ」だ。従来の協働ロボットは安全性・使いやすさに優れる一方、速度や可搬重量が産業用途に届かないケースが多く、一方の産業用ロボットは性能は高いが設置・導入・プログラミングのハードルが高い。PoWaは「コンパクトな協働ロボットの形でありつつ産業グレードの性能を持つ」という位置づけで、高速マシンテンディング、パレタイジング、ねじ締め、アーク溶接といったアプリケーションを想定する。
導入のしやすさも重視した設計だ。ノーコードプログラミング機能を搭載し、開梱から1時間以内の稼働開始を可能にするとしている。ABBの共通コントローラプラットフォーム「OmniCore™」を採用しており、ソフトウェア群やサードパーティ製アクセサリとのプラグアンドプレイ連携も可能だ。中小製造業から大企業まで幅広い自動化需要を取り込む狙いがある。
市場背景として、ABBは世界の協働ロボット市場が2028年まで年率20%成長を見込む。自動化に取り組み始めた中小企業の需要に加え、大企業の重量物・高速工程の自動化ニーズが牽引するという見立てだ。
国内の製造業DX担当者にとって、PoWaの登場が示す意味は「コボットの守備範囲の拡大」だ。これまでコボットが不得意としてきた重量物・高速サイクル工程でも協働ロボット的な柔軟性・導入容易性を享受できる可能性が広がる。人手不足対策として自動化を段階的に進めたい製造現場にとって、検討対象が広がった。
ABBはPoWaを「自律型汎用ロボット(Autonomous Versatile Robotics:AVR)」というビジョンの一端と位置づけており、AIを活用して自ら学習・計画する次世代ロボットへの布石として開発を進めている。PoWaのリリースは単なる製品追加にとどまらず、「協働ロボットが産業グレードの要件を満たす方向への進化」という協働ロボット市場全体のトレンドを体現している。2028年ごろには国内でも本格的な採用が始まるとみられ、製造業の自動化計画の中での位置づけを今から検討する価値がある。
関連情報
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000081567.html
《お知らせ》
PEAKS MEDIAのLinkedinページを開設しました。最新記事の概要をキャッチアップできます。
フォローはこちらから


